その「めまい」、フワフワ感じますか?感じ方で原因と受診科の見当がつきます

「グルグル回る」「フワフワ浮くような感じ」「クラっとする立ちくらみ」——めまいと一口に言っても、感じ方によって疑われる原因は変わってきます。40〜50代の女性に多い「更年期のめまい」は、女性ホルモンの変動が自律神経に影響することで起こりやすくなりますが、耳の病気や貧血、まれに脳の病気が隠れていることもあります。

まずは自分のめまいがどのタイプに近いかを確認し、当てはまる症状があれば早めに医療機関を受診しましょう。何科を受診すればよいか迷う場合の目安も後半で紹介します。

めまいの3つのタイプと、それぞれで疑われる原因

女性ホルモンの変化がめまいを引き起こす?――ホルモンと自律神経の関係

めまいは大きく3つのパターンに分けられます。

グルグル回る「回転性めまい」 自分や周りの景色がぐるぐる回って感じるタイプです。内耳にある三半規管や耳石器という、体のバランスを感知する器官のトラブルが原因になりやすく、良性発作性頭位めまい症(BPPV)やメニエール病、突発性難聴などで見られます。

フワフワ・ふらつく「浮動性めまい」 「頭がふわふわする」「雲の上を歩いているような感じ」といった、地に足がつかないような感覚です。回転性めまいほど内耳の急性トラブルに限らず、自律神経の乱れやストレス、更年期のホルモン変動と関連して起こりやすいタイプで、「更年期のめまい」として相談される方の多くはこの浮動性めまいにあたります。

クラっとする「立ちくらみ」 急に立ち上がったときにクラっとして目の前が暗くなるタイプです。これは血圧の調整に関わる自律神経の働きが一時的に追いつかず、脳への血流が瞬間的に減ることで起こります。加齢や自律神経の機能低下があると起こりやすくなり、回転性・浮動性のめまいとは仕組みが異なる現象です。

自分の感覚がどれに近いかを意識しておくと、受診時に症状を伝えやすくなります。

更年期に「ふわふわするめまい」が増えるのはなぜ?

女性ホルモンのエストロゲンは、自律神経の安定や血流の調整にも関わっています。更年期にエストロゲンが急激に減少すると自律神経のバランスが乱れやすくなり、ふらつきやふわふわ感、動悸、ほてり(ホットフラッシュ)といった症状が一緒に現れることがあります。ここにストレスが重なると自律神経の乱れがさらに強まり、めまい感を助長することがあると考えられています。

朝や起床時にめまいを感じやすいという方も少なくありません。就寝中は体が横になっているため血圧や自律神経の働きが変化しており、起き上がる際に血圧調整が追いつかないと、ふわふわ感やクラっとする感覚が出やすくなります。急に起き上がらず、一度座った姿勢を挟んでからゆっくり立ち上がることで軽減できる場合があります。

なお、更年期の症状には明確な診断基準があるわけではなく、他の病気ではないことを確認したうえで判断されるのが基本です。めまいが続く場合は、「更年期だから」と自己判断せず、一度医療機関で相談することをおすすめします。

更年期のめまいにはどんな特徴やパターンがある?

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更年期のめまいは、次のようなパターンで現れることが多いとされています。

このようなパターンに当てはまり、耳症状や貧血症状がない場合は、更年期に伴う自律神経の乱れが関わっている可能性があります。ただし持続時間が長い、症状が悪化していく場合は、耳の病気や他の原因も念のため確認しておくと安心です。

ホットフラッシュとめまいが同時に起こるのはなぜ?

ホットフラッシュ(急にカーッと熱くなる、汗が吹き出るといった症状)とめまいが同時に、あるいは前後して起こることがあります。これは、エストロゲンの減少によって血管の拡張・収縮をコントロールする自律神経の働きが乱れ、血管の状態が急に変化することで、体温調整と血圧・血流の調整が同時に不安定になりやすいためと考えられています。

ホットフラッシュの最中や直後にふわふわ感やクラっとする感覚を伴う場合は、自律神経の乱れによる更年期特有の反応である可能性がありますが、動悸や息苦しさが強い、意識が遠のくような感覚を伴う場合は、我慢せず医療機関に相談してください。

耳の病気が原因のこともあります

回転性のめまいや、耳鳴り・難聴・耳の詰まった感じを伴うめまいは、耳の病気が関わっている可能性があります。

  • 良性発作性頭位めまい症(BPPV):寝返りや起き上がりなど頭の位置を変えたときに、数秒〜数分程度の回転性めまいが起こる
  • メニエール病:めまいの発作に加えて、耳鳴りや難聴、耳の閉塞感を繰り返す
  • 突発性難聴:急に片耳の聞こえが悪くなり、回転性めまいを伴うこともある。できるだけ早い治療開始が望ましいとされる病気です

これらは更年期の年代と重なって起こることもあるため、めまいに耳症状が伴う場合は「更年期のせい」と決めつけず、耳鼻咽喉科での相談を検討してください。

生理不順や経血量の変化があるなら、貧血の可能性も

月経の出血量が多い、不正出血が続いているといった状態では、鉄欠乏性貧血になり、酸素の運搬が滞ることでめまいやふらつき、立ちくらみが起こることがあります。次のような心当たりがある場合は、婦人科や内科での相談も選択肢になります。

  • 経血量が多い、レバー状の塊が混じる
  • 生理中や生理後に強い立ちくらみ・疲労感がある
  • 食事量が少なく、鉄分の摂取が不足しがちである

何科を受診すればいい? 迷ったときの目安

めまいで受診する診療科は、症状の中心によって変わります。

どこに行けばよいか迷う場合は、まず耳鼻咽喉科を受診すれば、必要に応じて婦人科や内科、脳神経内科への紹介を受けられます。「様子を見よう」と先延ばしにするより、早めに専門医に症状を伝えることが安心につながります。

受診するとどんな検査をするの?

めまいの原因を調べるため、症状に応じて次のような検査が行われます。

  • 聴力検査:難聴の有無を確認
  • 眼振検査・頭位変換眼振検査:頭の位置を変えたときの目の動きから、内耳の異常(BPPVなど)を調べる
  • 平衡機能検査:体のバランス機能を評価する
  • 血液検査:貧血や甲状腺機能の異常など、他の病気が隠れていないかを確認する
  • 必要に応じてMRIなどの画像検査:メニエール病や、まれに脳の病気が疑われる場合に行われる

検査によって耳の病気や貧血などが除外され、それでも原因がはっきりしない場合に、更年期によるものと考えて経過を見ていくことになります。

今日からできるセルフケア

めまいそのものをすぐに消す薬はありませんが、自律神経の乱れを和らげる生活習慣の工夫は助けになります。

  • 起床時はゆっくり動く:布団の中で一呼吸置いてから座り、それから立ち上がる
  • 睡眠時間を整える:睡眠不足は自律神経の乱れを強めやすいため、就寝・起床時刻をなるべく一定にする
  • 水分と鉄分を意識してとる:脱水や貧血傾向があるとめまいが起きやすくなる
  • 急な動作を避ける:振り返る、上を向くなど頭を素早く動かす動作はBPPVの誘因になりやすい
  • ストレスをためすぎない:軽い運動や休息の時間を意識的に確保する

セルフケアを続けても改善しない、あるいは症状が繰り返される場合は、我慢せず医療機関を受診してください。

こんな症状があればすぐに受診を

以下のような症状を伴う場合は、更年期や自律神経の問題では説明できない、緊急性の高い病気が隠れている可能性があります。様子を見ずに、救急外来を含めた早急な受診を検討してください。

これらは脳の血管の病気が疑われるサインです。一刻を争う場合があるため、様子を見ずにすぐ医療機関を受診してください。

まとめ:めまいは我慢せず、症状に合った専門医へ

まとめ:めまいは「更年期のせい」と決めつけず、専門診療を

めまいの原因は、更年期のホルモン変動だけでなく、耳の病気、貧血、自律神経の乱れなど多岐にわたります。「更年期だから仕方ない」と我慢を続けると、背景にある耳の病気や貧血の治療が遅れてしまうこともあります。まずは自分のめまいの感じ方(回転性・浮動性・立ちくらみ)を整理し、耳症状があれば耳鼻咽喉科へ、月経に関する心当たりがあれば婦人科へ相談してみてください。どこに行けばよいか分からないときは、耳鼻咽喉科を最初の窓口にするのも一つの方法です。

野田 昌生

この記事の監修

野田 昌生(のだ まさお)

  • 自治医科大学 耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 講師
  • 耳鼻科専門医 医学博士