概要
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome: SAS)とは、夜間の睡眠中に呼吸が抑えられたり、止まってしまう状態が繰り返される病態です。
主に中年の男性や肥満の方に多いですが、こどもでも多く見られます。
原因について
睡眠時無呼吸症候群は息の通り道がせまくなってしまう閉塞型、脳による調整がうまくいかない中枢型、それらの両者がある混合型に分けられます。
こどもの場合、閉塞型が最も多く、アデノイド肥大や扁桃肥大が原因となります。また、顔の形や顎が小さいことでも、原因となります。
これにより、上気道が狭窄し、空気の流れが妨げられてしまいます。このように気道が閉塞してしまい無呼吸になる状態、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)とついて今回は説明をしていきます。
病態について
OSAは、上気道の狭窄によって、呼吸中枢からの指令にもかかわらず、呼吸が停止する状態が繰り返されることで発生します。
これにより、血中の酸素濃度が低下し、二酸化炭素濃度が上昇します。そのため、脳や心臓、血管系、内分泌系などに負担がかかり、様々な影響を与えます。
必要な検査とその所見について
睡眠時無呼吸症候群の診断には、睡眠時ポリソムノグラフィー(PSG)が必要となります。脳波・筋電図・眼電図・心電図・呼吸流量・呼吸筋電図・酸素飽和度などを測定し、睡眠中の状態を詳しく調べる検査です。PSGによって、呼吸停止の回数や時間、酸素飽和度の低下などが評価されます。
小児の場合は外来で、簡易的なPSGや終日spO2モニタリグによって検査を行い、その程度を把握することもあります。
治療方法について
睡眠時無呼吸症候群の治療法には、以下のような方法があります。
CPAP療法
CPAPと呼ばれる装置を使用して、一定の圧力で空気を送り込むことで、気道を開いた状態を維持することができます。気道を開きながら正常な呼吸を行わせることで、無呼吸の状態を防ぐことができますが、こどもの場合うまく装着できなかったりすることもあります。
口腔内装具
歯科医師によって作られたマウスピースを使用して、下顎を前方に保持することで気道を開きます。これは口や顔の形が原因となる場合に有効となります。
外科的治療
扁桃腺やアデノイドが原因となる場合には、それらを切除や摘出することが有効です。
【治療を考える際の注意点】
睡眠時無呼吸症候群は、程度にもよりますが、脳や心臓など体への負担もあるため、早期の診断と治療が重要となります。
また、手術を行う場合にはその利点とリスクについて理解をした上で決定する必要があります。アデノイド増殖症の場合、年齢によっては手術後に再度増大する可能性もあります。
生活への影響と注意点
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠の質や量を低下させるため、日中の眠気や集中力の低下、仕事や学業の成績の悪化、運転時の事故リスクの増加など、生活に深刻な影響を与えることがあります。また、無呼吸が繰り返されることにより、血中酸素濃度の低下や血圧の上昇が起こり、心血管系の疾患を引き起こす可能性もあります。
- 睡眠時無呼吸症候群は寝ている時に息が止まる疾患で、原因により閉塞型、中枢型、混合型に分けられる
- 小児では、閉塞型が多く、アデノイドや扁桃肥大、顔や口の形によって、息の通り道が狭くなることが原因となる
- 無呼吸の程度によっては、体への負担も大きくなるため、早期の検査や原因に合わせた治療が必要になる