慢性副鼻腔炎は、副鼻腔の粘膜が2-3ヶ月以上にわたって慢性的に炎症を起こす状態を指します。副鼻腔は、鼻の周囲にある空気が通る小さな空間です。
副鼻腔粘膜の慢性的な炎症によって、粘膜上皮細胞の増殖や腫脹、線維芽細胞の増殖などが起こります。これによって、鼻腔や副鼻腔内に粘膜や粘液がたまり、以下のような症状をみとめます。

  • 鼻詰まり
  • ねばねばとした鼻水(黄色っぽい膿性の場合も)
  • 顔の痛みや圧迫感、頭痛
  • 味や嗅覚の低下

こどもでは、細菌、真菌、ウイルスなどの感染、アレルギー、鼻ポリープ、腫瘍、鼻中隔弯曲症、上顎歯根部感染など、複数の要因が関与することがあります。
アレルギー性鼻炎や上気道感染症などが原因となることが多いとされています。
また、空気の汚染、ストレス、免疫不全状態などもリスク因子として知られています。

必要な検査とその所見について

慢性副鼻腔炎の診断には、病歴や診察の他に、血液検査、副鼻腔CT検査やMRI検査などが用いられます。
副鼻腔CT検査では、副鼻腔の形態や粘膜の厚み、分泌物のたまり具合などが評価されます。MRI検査では、真菌や腫瘍の鑑別に有用な場合があります。
また、副鼻腔内から分泌物を採取して、病原菌の検査を行うこともあります。

鑑別疾患について

慢性副鼻腔炎と似た症状を引き起こす疾患として、アレルギー性鼻炎、上気道感染症、薬剤性鼻炎、自己免疫性疾患、悪性腫瘍など様々な疾患が挙げられます。

治療方法について

慢性副鼻腔炎の治療は、原因に応じた治療が行われます。抗生物質や去痰薬などの内服薬や、鼻腔洗浄・吸引を行い、改善が見込めない場合に手術加療を行います。
鼻腔洗浄は、塩水や生理食塩水で鼻腔内を洗浄することにより、鼻腔内の分泌物やアレルゲンを除去し、炎症を抑えることができます。

POINT
  • 慢性副鼻腔炎では、副鼻腔の粘膜が2-3ヶ月以上慢性的に炎症を起こす
  • 症状としては、鼻閉や鼻漏、頭痛などが長期的にみとめられる
  • 画像検査が診断に有用で、保存的な治療で改善がない場合には手術も適応となる
野田 昌生

この記事の監修

野田 昌生

  • 自治医科大学 耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 講師
  • 耳鼻科専門医 医学博士