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治療編:鼓膜チューブ挿入術

Updated: May 20, 2023

鼓膜チューブ挿入術は、その名の通り、鼓膜にチューブを入れることで、

鼓室内の換気を改善し、中耳炎の再発を予防すること」を目的としています。


主に対象となる疾患は、

滲出性中耳炎

・急性中耳炎

があります。



手術方法

施設によって基準が異なり、全身麻酔で行うところもあれば、局所麻酔で行う場合もあります。

一般的には、手術時間は30分程度ですが、個人差があります。

手術の手順としてはシンプルで

1 鼓膜を専用のメスで切開し、鼓室内の貯留液を除去

2 鼓膜を切開した部位にシリコン製のチューブを挿入

することで終了とします。


合併症

合併症としては、耳の中を触る際に、他の構造を傷つけてしまう可能性があり、以下のものが挙げられます。

・出血(高位静脈球の損傷による大量出血を含む)

・外耳道損傷

・耳小骨離断

多くは問題なく終了します。


その他に、以下の点が考えられます。

・鼓室内異物(チューブが鼓室内へ脱落してしまう)

・鼓膜穿孔の残存(チューブが抜けた後も穴がのこる)


術後に関して:

・チューブ留置後は、鼓膜やチューブの状態、聴力の評価などで通院していただくことが多いです。施設により基準が異なりますが、当院では術後1ヶ月程度で観察しています。


・チューブが体(耳)にあわず、異物反応として術後に耳漏が出たり、肉芽できたりすることや、入れたチューブがすぐに抜けてしまったり、あるいは抜かなければならないことがあります。


・一般的には、チューブ留置中は、お風呂や顔に水がかかる程度の水遊びは可能です。汚れた水に潜る際には耳栓をしていただいています。また、耳漏がでたり、耳の聞こえの状態が悪い場合は、水泳など避けた方がよいでしょう。


・チューブが抜けたあと(ほとんどの場合は自然に脱落します)に、滲出性中耳炎の再発がある場合、再びチューブ留置の手術が必要となることがあります


・チューブが抜けたあとの鼓膜穿孔は、ほとんどの場合は自然にふさがります。しかし、穿孔が残る場合には、時期をみて鼓膜の穴を閉鎖する手術(鼓膜形成術、鼓室形成術)が必要となることがあります。


代替治療について

対象となる疾患によって異なりますが、内服による治療や鼓膜切開(鼓膜を切るのみでチューブは入れない)ことがあります。すでに内服加療を行った上で改善がない場合などには、鼓膜チューブ挿入術が必要となることが多いです。


治療に関しては、メリットとデメリットの両者を考えて選択する必要があります。

手術を承諾されるかどうかは、患者さんの意思が尊重されます。承諾されない場合でも、診療上の不利益をうけることはありません。まずは、専門医にご相談ください。


文章、監修:野田昌生 イラスト:野田昌生


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