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疾患編:良性発作性頭位めまい症(BPPV)



【概要】

良性発作性頭位めまい症 (Benign Paroxysmal Positional Vertigo, BPPV) は、めまいを起こす疾患の一つで、頭部を特定の方向に動かしたときに短時間のめまいが起きることが特徴です。

頭を傾けたり、起き上がったりしたときに、めまいやふらつき、それに伴う吐き気などの症状が現れます。BPPVは、一般的なめまいの原因の1つであり、特に高齢者に多く見られます。小児ではそれほど頻度は多くありません。


【原因と病態】

BPPVの原因は、内耳の一部である前庭器官(卵形嚢、球形嚢など)においてカルシウムの粒(耳石:じせき)が異常な位置に存在することでおこります。

これにより、頭の動きに対する刺激が増幅されてしまうことにより発生します。また、頭部外傷や内耳の感染症、加齢、長時間の寝たきり生活など、様々な原因が考えられます。

病変がある部位によって、外側半規管や後半規管と分けたり、耳石の浮遊物debrisが迷入する半規管結石症やdebrisがクプラに付着するクプラ結石症に分けます。


【必要な検査とその所見について】

BPPVの診断には、眼振と呼ばれる目の動きをみる検査が非常に重要です。頭の位置を動かしたことで、この眼振が誘発されることが特徴となるため、この頭位変換眼振(とういへんかんがんしん)を診察でみていく必要があります。


また、他のめまいを起こす疾患との鑑別のために、平衡機能検査や聴力検査が行われる場合もあります。

BPPVの分類ごとの診断は非常に難しく、専門医による診察が大切といえます。


【鑑別疾患について】

めまいを症状とする原因は様々あり、BPPV以外にも小児では、良性発作性めまいや起立性調節障害など、頻度の高いものや脳幹や小脳の疾患などの中枢性のものがあります。

これらの疾患は、それぞれに特有の症状や検査所見があります。


【治療方法について】

BPPVの治療方法には、理学療法が主体となります。

薬物療法によって、めまいの症状を抑えることはできますが、耳石を動かしているわけではなく根本的な治療とはいえません。

理学療法では主に、頭の位置を変える治療を行います。これは、BPPVの原因によって、方法が異なりますので、しっかりと診断をつけることが、適切な治療へとつながることになります。


Point

・BPPVは、一般的なめまいの一つで、頭の位置を変えることで誘発されることを特徴とする

・内耳の耳石の異常によって引き起こされ、病態によって、めまいがひどくなる頭の位置が異なる

・それぞれに合わせた理学療法が必要となるため、しっかりとした診断をつけることが重要である

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