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  • 疾患編:アレルギー性鼻炎

    アレルギー性鼻炎とは、花粉やダニなどのアレルゲンによって鼻の内側が炎症を起こす病気です。炎症によって鼻水や鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみなどの症状が現れます。 アレルギー性鼻炎は、小児期から発症することが多く、症状が続く期間も長くなることがあります。 【原因について】 アレルギー性鼻炎の原因としては、花粉やダニ、ハウスダスト、カビ、ペットのアレルゲンなどが考えられます。 これらのアレルゲンが鼻の粘膜に接触し、IgE抗体が生成されます。次に同じアレルゲンに再度接触すると、このIgE抗体が結合し、マスト細胞からヒスタミンなどの炎症物質が放出され、炎症を引き起こすことになります。 炎症がおこることで、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみ、喉のかゆみなどの症状がでてきます。また、炎症が慢性化すると、鼻の粘膜が肥厚し、嗅覚異常や頭痛などの症状が現れることもあります。 【必要な検査とその所見について】 アレルギー性鼻炎の診断には、症状の詳細な聴取と診察が重要です。 鼻汁好酸球検査における鼻汁中の好酸球の存在は、アレルギーの関与を示唆します。 また、アレルゲンの特定には皮膚テストや血液検査などが用いられます。 皮膚テストでは、アレルゲンを皮膚に刺激し、反応を確認します。 血液検査では、アレルゲン特異的IgE抗体(アレルゲンに対する体の反応を示すタンパク質)の存在と量を検出します。 【鑑別疾患について】 アレルギー性鼻炎と似た症状を引き起こす疾患として、風邪やインフルエンザ、気管支喘息、鼻ポリープ、副鼻腔炎などが挙げられます。 これらの疾患と区別するためには、症状の持続時間や出現時期、診察所見、これまでの病歴などを考慮して、診断を行います。 【治療方法について】 アレルギー性鼻炎の治療には、以下のような方法があります。 ・アレルゲン対策: アレルゲンを避けることが重要です。このため、原因となるアレルゲンを特定することが重要です。 ・薬物療法: 抗ヒスタミン薬、鼻噴霧ステロイド薬、抗炎症薬などが用いられます。症状の程度に応じて、単剤や併用などの治療方針が選択されます。 ・免疫療法: アレルゲンに対する免疫力を高めるために、アレルゲンを微量投与する免疫療法があります。 アレルギー性鼻炎の治療には、個人差があります。症状の程度や病歴、年齢などに応じて、治療方針を決定する必要があり、以下の点に注意が必要です。 ・症状の程度と治療気管: 症状が軽度の場合は、アレルゲン対策や抗ヒスタミン薬のみで十分な場合がありますが、重度の場合には鼻噴霧ステロイド薬の使用が必要となることがあります。また、治療が長期に渡る場合では、継続的な治療が必要です。治療を中断することで再発することがあるため、治療方針を決定する際には、治療期間やコストなども考慮する必要があります。 ・副作用: 治療薬には、副作用がある場合があります。例えば、ステロイド薬の場合は、鼻出血や口内炎などの副作用が起こることがあります。副作用に対しては、治療医との相談をして対処することが必要です。 ・投薬内容: 治療方法によっては、治療に必要な薬剤の量や投与頻度が異なるため、正しい用法・用量を守ることが重要です。誤った使用や使いすぎは、逆に症状を悪化させる可能性があります。 ・その他の疾患の存在: 治療においては、アレルギー性鼻炎だけでなく、他の疾患との併存や合併症がある場合があるため、症状の変化には敏感に対応する必要があります。 Point ・アレルギー性鼻炎は、花粉やダニなどのアレルゲンによって鼻に炎症を起こすもので、くしゃみ・鼻水・鼻詰まりや目の痒みなどの症状をおこす ・小児期から発症することも多く、生活の中で眠気や集中力の低下をひきおこす ・程度や原因にあわせた治療が必要となり、症状が続く場合には詳しい検査を推奨する 文章、監修:上野貴雄・野田昌生 イラスト:野田昌生

  • Q&A: 中耳炎のときに飛行機に乗ってもいいの?水泳はしてもいいの?

    中耳炎のときに飛行機に乗ってもいいの? 中耳炎の場合、飛行機に乗ることは避けた方が良い場合があります。 中耳炎は、文字通り「中耳に炎症が起きている状態」ですが、飛行機などの高度の変化によって、中耳内の圧力が変化し、症状を悪化させることがあるからです。 また、飛行機内の空気が乾燥しているため、中耳の炎症を増悪する可能性があります。 そのため、中耳炎の症状がある場合には、医師の指示に従い、飛行機に乗ることができるかどうか確認することをおすすめします。 症状が軽度であれば、耳栓やのど飴を使って緩和する方法がありますが、 重症の場合には、飛行機の乗り物自体を控える必要がある場合があります。 中耳炎といわれたが水泳をしても大丈夫ですか? 中耳炎にも種類がありますが、急性中耳炎がある場合、水泳は控える方が良いでしょう。 水泳をすると、きれいではない水が中耳に入り、症状を悪化させることがあります。また、中耳炎の原因がウイルスや細菌感染である場合、他の人と一緒に泳いでいると感染を広げてしまうこともあるので、周りの人への感染予防の観点からも、水泳は控えることをお勧めします。 中耳炎が治ってから、医師の許可を得てから水泳を再開することが望ましいでしょう。 文章、監修:野田昌生 イラスト:野田昌生

  • 疾患編 : 耳小骨奇形

    耳小骨奇形は、中耳の三つの小さな骨(耳小骨:ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)の形態的な異常があることです。 連続性がなかったり、固くくっついていることにより、聴力に影響を与える場合があります。 【原因と分類】 耳小骨奇形は、生まれつきの異常によって引き起こされるもので、発生の過程で遺伝的な要因に影響をうけます。 また、耳小骨の奇形だけである場合と他の奇形を合併する場合があります。 専門的な話をすると、耳小骨は第1鰓弓、第2鰓弓から発生するとされ、それらの鰓弓由来奇形を合併するTreacher Collins症候群やApert症候群なども耳小骨奇形を認めます。 【必要な検査とその所見について】 耳小骨奇形の診断には、鼓膜からの所見や、聴力検査、画像検査が有効です。 聴力検査では、聞こえの程度の他に、骨の伝わりがうまくいっているか(骨導)を調べることで、奇形によって聞こえにくいのかどうかを判断することができます。 しかしながら、こどもではうまく検査できないこともあるため、それだけで診断することは難しいです。 また、CTスキャンなどの画像検査も有効で、耳小骨の形を事前にある程度判断できます。 ある程度というのは、奇形のバリエーションは様々で、完全な判断は実際に手術をしてみないとわからない場合があるからです。 【治療法について】 耳小骨奇形に関する治療としては、手術加療が行われています。 手術では、奇形のタイプや固くなっている場所に合わせて、手術を選択することが必要になります。そのため、事前にある程度の予測をしていますが、実際の手術中の所見で、最終的な判断を行います。 手術の種類としては、鼓室形成術または、アブミ骨手術が適応となります。 鼓室の部屋を確認し、聞こえのしくみを作り直す鼓室形成術では、骨のつながりを作ったり、固くなっているところを解除したりします。 アブミ骨手術は、耳小骨の最後の骨であるアブミ骨が固くなってしまった場合に行います。 「治療編:鼓室形成術」 「治療編:アブミ骨手術」 手術は比較的大きな手術であり、一定のリスクも伴うので、治療を行うかどうかを慎重に検討する必要があります。 また代替手段として、骨導インプラントや補聴器の使用も検討が可能です。 特に、こどもに対して行われる場合は、発育に与える影響や、成長後の再手術の可能性を考慮する必要があります。 まずは、耳鼻咽喉科専門医にご相談していただくことをおすすめします。 この記事のPoint ・耳小骨奇形は、中耳にある3つの骨の形が変わってしまうこと ・固くなったり、つながりがなくなることで、聴力の低下をひきおこす ・治療としては奇形のタイプにあわせた手術(鼓室形成術・アブミ骨手術)があるが、実際に確認してわかる部分もある ・骨導インプラントや補聴器の使用もあるため、まずは相談してみることが必要 文章、監修:野田昌生 イラスト:野田昌生

  • 疾患編:「真珠腫性中耳炎」

    真珠腫は上皮(皮膚のような組織)が鼓膜の内側(中耳腔)へ向かって入り込み、内部で増殖するものです。 【原因と分類】 真珠腫性中耳炎は中耳に上皮が入り込むことでによって起こりますが、 こどもでは、発生の過程で上皮が残ってできた先天性真珠腫と外耳側から上皮が入り込んだ二次性真珠腫とに分けられます。 先天性真珠腫では、外耳道や鼓膜と連続性が無いため、小さなものでは診察でわかりづらいことがあります。 初期の症状として、耳の聞こえづらさや詰まった感じ、耳鳴りなどがありますが、自分では訴えないため、ある程度進んでから見つかる場合もあります。 二次性真珠腫では、中耳内に圧がかかり、鼓膜の一部が凹むようにして上皮が進入します。こどもでは、中耳とのどをつなぐ耳管の機能が未熟なため、中耳炎が起きたり、風邪をひいたり、鼻を啜ったりすると圧がかかりやすくなります。 周囲の骨を破壊する可能性があるため、狭い中耳内で増殖し続けると、周りの組織へ進展することで、いろいろな合併症を伴う危険があります。 例えば、内耳へ進展した場合には内耳障害に伴う難聴やめまい、顔面神経麻痺などが挙げられます。また、稀ではありますが、脳内へ進展して、脳炎や髄膜炎を引き起こすこともあります。 真珠腫の進行にともなう合併症を防ぐためには、真珠腫を早期にしっかりと除去し、さらに聴力を可能な限り温存や改善することを目標に手術を行います。 【治療】 真珠種性中耳炎の治療として、炎症がひどい場合には抗菌薬やステロイドの内服、耳からの吸引清掃があります。外科手術としては、鼓室形成術があります。 「治療編:鼓室形成術(真珠腫性中耳炎)」 【生活上の注意】 真珠種性中耳炎では、耳を痛がる、中耳炎を繰り返す、聞こえの反応が悪いなどの症状から真珠腫が見つかった例もあります。そのため、生活の中の様子から、変わった様子があれば、まずは受診することをお勧めします。 また、炎症がひどい場合にはプールや海水浴には耳栓を装着することが望ましいです。 耳鼻咽喉科専門医の指示に従って、適切な治療を行い、定期的な通院を心がけることが重要です。 この記事のPoint ・真珠腫中耳炎は上皮が中耳へと入り込んだもので、慢性中耳炎の一つ ・中耳の空間はせまいため、増殖して周りの骨を溶かすことで様々な合併症をひきおこす ・治療としては、炎症に対しての治療があるが、根治的には鼓室形成術が行われる ・初期では見つけづらいこともあるので、日頃の観察も重要となる 文章、監修:野田昌生 イラスト:野田昌生

  • Q&A:新生児スクリーニングでリファーになったら? どんな検査をするの?

    生まれてすぐの新生児期には、早期に異常を発見するために、先天性代謝異常の検査や聴覚検査によるスクリーニングが行われます。 先天性難聴は1000人に1−2人とされており、欧米では聴覚検査の実施を義務付けている国もあります。日本では聴覚スクリーニングが普及していますが、地域によっても普及の程度は異なっており、まだ完全とは言えない状況です。 国内の新生児聴覚スクリーニングでは、年間に4000人程度が全国の精密聴力検査施設を受診しており、そのうち1000人程度で両側の難聴が発見されています。 両耳が聞こえにくい場合には、早期発見・早期診断・早期介入が聞く力や話す力を養い、言葉を獲得していく上で非常に重要となります。 ● スクリーニングってどんな検査をするの? 新生児スクリーニングは、生後数日から2週間以内の新生児に行われる検査で、先天性代謝異常や免疫不全症候群など、早期に発見しなければならない疾患を早期発見することを目的としています。 新生児聴覚スクリーニングはその中でも、聴力についてのスクリーニング検査です。 内耳の反応をみる検査(OAE)と、音に対する反応をみる検査(自動聴性脳幹反応検査(AABR))があります。 ABRは、赤ちゃんの頭皮に電極を装着し、耳に小さな音を流した際の、脳の反応を測定します。 OAEは、耳に小さな音を流して、その音によって発生する耳の反応を測定する方法です。 どちらの方法でも、テストは簡単で非侵襲的であり、赤ちゃんに不快感を与えることはありません。聴覚スクリーニングは、早期に聴覚障害を発見することで、適切な治療や支援を提供し、赤ちゃんの成長と発達に適切に対応することができます。 これらのスクリーニングによって、「パス(pass)」あるいは「リファー(要再検、refer)」と評価しています。 リファー(要再検)となった場合には、再検査や専門家の診察が必要とされる状態ということになり、耳鼻咽喉科精密検査機関を受診し、適切な検査を行うことで、 ・本当に聴力が悪いのか ・どれくらい悪いのか ・何が原因なのか ・治療介入が必要なのか などについてみていく必要があります。 日本小児耳鼻咽喉科学会の新生児聴覚検査の流れでは ・おおむね生後3日以内に初回検査 ・要再検となった場合には生後1週間以内に確認検査 ・それでも再検となった場合には生後3ヶ月以内に耳鼻咽喉科精密機関での精密検査 ・早期療育が必要な場合には、遅くとも生後6ヶ月までに開始 を推奨しています。 検査の流れについては、概要や目安ではありますが、言葉を獲得する臨界期を考えると、早期に介入することがそれ以降のコミュニケーションや学習の上で必要となるのです。 気になることがありましたら、耳鼻咽喉科専門医や専門機関でご相談することをお勧めします。 この記事のPoint ・新生児聴覚スクリーニングは、生まれてすぐのスクリーング検査の一つで聴力に関しての検査のこと ・内耳の反応をみるOAEと音に対する反応をみるABRがあり、リファー(要再検)となった場合には耳鼻咽喉科精密検査機関を受診し、再検査や専門家の診察が必要 ・両耳難聴では特に、早期発見・早期診断・早期介入が非常に重要 文章、監修:野田昌生 イラスト:野田昌生

  • Q&A:中耳炎と言われました。中耳炎ってなんですか?

    中耳は外からの音を受けて、物理的に振動を内耳へと伝える場所です。 空気で満たされている空間であり、鼓膜を振動させることで音を伝える重要な役割を持っています。 中耳に炎症がおきることを’中耳炎’と言いますが、いくつかの種類に別れています。 こどもによくある疾患として、 ・急性中耳炎 ・滲出性中耳炎 の二つがあります。 急性中耳炎は、細菌やウイルスなどの病原体が中耳内に入り込み、炎症を引き起こすことで発生します。 発熱の他に、炎症により中耳内の圧力が高まり、痛みや耳鳴り、聴力低下などの症状を引き起こすことがあります。 また、炎症が慢性化すると中耳内に膿がたまり、感染が広がる危険性もあります。 「疾患編:急性中耳炎」 滲出性中耳炎は、炎症後や、鼻から中耳の圧がかかることによって、中耳に液体が溜まってしまうものです。 こちらは、急性中耳炎とは異なり、発熱や痛みはなく、耳のこもった感じや聞こえづらさが主な症状となります。 「疾患編:滲出性中耳炎」 中耳炎は特に幼児や小児に多く見られる病気で、早期発見・早期治療が大切です。 治療には、症状に応じた抗生物質や鎮痛剤などの薬剤の投与、または手術的な治療が行われます。 この記事のPoint ・中耳の空間に炎症がおきる中耳炎では、主に急性中耳炎、滲出性中耳炎がある ・急性中耳炎では発熱や耳痛、耳だれが、滲出性中耳炎では耳の聞こえづらさが主な症状 ・中耳炎といっても症状はさまざまで、原因にあった治療や観察が重要 文章、監修:野田昌生 イラスト:野田昌生

  • Q&A:先天性耳瘻孔(じろうこう)ってなんですか?どのような原因で起こりますか?

    先天性耳瘻孔とは、胎児期に耳の発生過程で残った構造物が、耳に穴として残ったものです。 耳瘻孔は、耳介の前や上の方にできることが多いですが、場合によっては下側にもできることがあります。 外側から見ると穴のようにみえるのですが、そこから管のようになっており、場合によっては枝分かれしたような構造になることがあります。 通常、何もなく経過しますが、穴があることでバイキンなどの汚れがついてしまい、感染を起こしてしまったり、その周囲に膿が溜まってしまうことがあります。 この耳瘻孔感染では、膿や分泌物が穴から出てくるのですが、抗菌薬を使用して感染を治療する場合があります。 膿が溜まってしまった場合は皮膚の一部を切って、膿を出してあげることも必要になります。 ひどい感染があった場合や、感染を繰り返してしまう場合には、管状の構造物を取り除く、耳瘻管摘出術も適応となります。 「治療編:耳瘻管摘出術」 気になったことがあれば、まずは耳鼻科専門医にご相談してください。 文章、監修:野田昌生 イラスト:野田昌生

  • 疾患編:「滲出性中耳炎」

    滲出性中耳炎は、中耳の空間に液体が溜まる疾患です。 主な原因として中耳に圧がかかることが考えられ、上気道感染症やアレルギー反応、気圧の変化などが挙げられます。 症状としては、 ・耳の詰まり感 ・耳鳴り ・聴力低下 ・頭痛 ・めまい などで、こどもの訴えはさまざまです。 炎症があり痛みや発熱を伴う「急性中耳炎」とは違うものです。 小児においては、特に言語発達に悪影響を与えることがあるため、早期に適切な治療が必要です。 治療法としては、原因に合わせたものをまずは行います。 抗菌薬や抗アレルギー薬の投与、耳抜きなど鼻から耳への圧をかける練習を行い、改善がない場合には手術を行うことが多いです。 また、生活の中での注意点としては、タバコの煙や花粉、ダニなどのアレルギー原因物質の避け方や、規則的な掃除、手洗いなどが挙げられます。 定期的に通院し、鼓膜を観察することも大切です。 鼓膜チューブについて 鼓膜チューブ挿入術は、滲出性中耳炎や再発性中耳炎など、中耳内に滞留した分泌物の除去や中耳通気機能の改善を目的として行われる手術です。 「治療編:鼓膜チューブ挿入術」 一般的には、以下のような基準を目安にしています。 ・中耳炎の症状が3か月以上継続する場合 ・中耳内に積極的な治療を行っても改善が見られない場合 ・両側にあり、聞こえの悪い状態がある場合 ただし、チューブ挿入術が適切かどうかは、患者の症状や病歴、年齢などによって異なるため、必ずしも上記の基準が当てはまるわけではありません。 耳鼻科専門医が慎重に患者の状態を評価し、最適な治療法を選択する必要があります。 文章、監修:野田昌生 イラスト:野田昌生

  • Q&A:こどものめまいってなに?どんな原因があるの?

    「めまい」とは、フワフワとしたふらつきや、ぐるぐるとした回転感などを感じる症状で、人によって感じ方は異なります。 原因は様々で、耳の中のものや、脳の疾患、心臓に関連したもの、筋肉の異常などがあります。また、ストレスや疲れ、過剰なスクリーンタイムなど、生活習慣の影響も考えられます。 内耳には平衡感覚を司る器官があり、内耳の疾患(例えば前庭神経炎や迷路炎)が原因でめまいが起こることがあります。脳にもめまいを引き起こす疾患(例えば脳腫瘍、てんかん、頭部外傷など)があります。 こどものめまいでは大人のめまいと比べて、その原因の頻度が異なっています。 世界各国の報告から、頻度の多いものとして、 1)BPV(良性発作性めまい) 2)前庭片頭痛 3)頭部外傷 が半分を占めています。 また、4)起立性調節障害や5)心因性めまいも原因として報告されています。 1)BPV(良性発作性めまい)は、片頭痛との関係も多く報告されていて、片頭痛の前兆ではないかと考えられています。成長とともに改善していくことが多いですが、発作予防に内服薬を使用することもあります。 2)前庭片頭痛は、めまいがひどくなる時に頭痛もひどくなることが特徴的な疾患です。 その他、 ・運動をしたら頭痛がひどくなる ・症状がひどくなる前に、音や光に過敏になる といった症状が、診断に有用なことがあります。 程度によって、ひどくなる発作時と発作を抑える予防時、それぞれに内服加療が適応されます。 3)頭部外傷では、頭を打ったことによって、脳や内耳が震盪(ぐらぐらとゆれること)し、めまいの症状を起こします。こどもの場合、頭をうったエピソードや、うった痕があれば診断はつきやすいですが、自分では訴えないこともあるため注意が必要です。 4)起立性調節障害では、学童期に多く、立った時に血圧が下がることで頭蓋内の血流障害を引き起こすものです。’立ちあがったときにフラッとする’、’目の前が黒くなる’といった訴えが多く、体の急成長に循環器や自立神経の成長が追いつかないことが原因と考えられています。 5)では学校や家庭でのストレスなど、心的な要因により、めまいが引き起こされることがあります。日々の生活の中で、いつ・どこで・どんなときに症状が起きるかについて聴取することが重要ですが、他の原因をしっかりと除外する必要もあります。 子供のめまいが継続的に起こる場合、医師に相談することが重要です。 医師は子供の症状を評価し、必要に応じて適切な検査を行い、治療を提案することができます。 生活でどのような点に注意するの? 子供のめまいに注意するポイントとしては、まずは症状に敏感になることが大切です。 自分で症状を訴えない場合もあるため「何かおかしいな?」という気づきが重要になります。 子供が「目が回る」「ふわっとする」「バランスが悪い」といった症状を訴えた場合は、その原因を探る必要があります。 また、運動不足や姿勢の悪さも原因となることがあるため、適度な運動や正しい姿勢を保てるかにも注意しましょう。 その他にも、睡眠や栄養バランス、ストレスの管理など、健康的な生活習慣を心がけることが重要です。 定期的な健康診断や、視力検査、聴力検査などもお勧めします。 症状が続く場合は、早めに医療機関を受診することが必要です。 この記事のPoint ・「めまい」とはフワフワ、ぐるぐるとした症状で、人によって感じ方はさまざま ・こどもでは大人と原因が異なり、頻度が多いものとしては 良性発作性めまい, 前庭片頭痛, 頭部外傷, 起立性調節障害, 心因性めまいなどがある ・自分で症状を訴えないことも多いため、生活の中で様子を観察することも重要 文章、監修:野田昌生 イラスト:野田昌生

  • Q&A:難聴って何?

    難聴とは、音が聞こえにくくなったり、全く聴こえなくなる症状のことです。 原因として、音が耳の外側から、脳に伝わるまでのどこかで障害が起こることが考えられます。 耳の構造は 1)外耳 2)中耳 3)内耳 4)さらに中枢 と分けられ、さまざまな原因により、難聴を引き起こします。 様々な分類がありますが、一般的には音の伝え方の違いで、 1)、2)を原因とする伝音難聴と 3)、4)を原因とする感音難聴に分けられ、必要な検査や治療が異なります。 また、その他の分類の一つとしては、生まれつきのもの(先天性難聴)や、後天的なもの(後天性難聴)があります。 先天性難聴は、妊娠中に感染症や薬物の影響を受けた場合、またはご家族に遺伝的な難聴の歴史がある場合が含まれます。 後天性難聴は、生まれた後に、感染症や外傷、薬物、老化、騒音などが原因となる場合が含まれます。 こどもの場合はとくに、聞こえが悪くなることで、言葉の獲得や勉強・コミュニケーションに大きく影響を与えるため、早期に発見し、診断、適切な治療が必要となります。 滲出性中耳炎や急性中耳炎などよくある病気から、遺伝性難聴や内耳奇形など比較的頻度の少ないものまで幅広く考えられるため、まずはしっかりと検査をしていくことが重要です。 治療の例としては、薬物や感染症の治療のほかに、補聴器や人工内耳などの装置の使用や、手術が必要な場合があります。 小児期に難聴が発見された場合、早期の治療や支援が必要と言いました。 これには、言語聴覚士や聴覚指導者による言語やコミュニケーションの支援、特別支援学校や聴覚障害者施設への通学支援なども含まれます。 また、家族による支援も非常に重要であり、医療専門家や支援団体などが提供する情報やサポートを利用することが望ましいです。 難聴の原因や治療方法は、個々の状態に応じた詳細な説明が必要です。気になった場合には、耳鼻科専門医や言語聴覚士などの専門家に相談することが望ましいでしょう。 この記事のPoint ・難聴は音が聞こえにくかったり、聞こえないこと ・原因や分類もさまざまで、それぞれに対して治療方法も異なる ・こどもでは言葉や社会性の獲得につながるため、早期の発見、診断、介入が重要となる 文章、監修:野田昌生 イラスト:野田昌生

  • Q&A: 子供が難聴と言われました。学校ではどんなことに注意すればよいの?

    難聴とは音が聞こえづらかったり、聞こえなかったりすることですが、 「難聴です」とひとまとめに言っても、様々なパターンが存在しています。 例えば、 ・片側なのか、両側なのか ・原因がどこにあるのか ・程度はどの程度なのか などについてしっかりと検査をした上で、対策を考えることが必要となります。 お薬や手術が必要なのか、様子をみていくのか、補聴器が必要になるのかなどを決めていきますが、どのように対応するかについては、その施設の経験や行うことのできる治療、お子様の状態によっても大きく異なりますので、医療機関としっかりと相談していくことが大切です。 また、難聴と診断された場合、学校では以下の点に注意が必要です。 コミュニケーションのサポート: 難聴の子供は、クラスでの講義やグループディスカッションなどで、先生やクラスメイトの発言を聞き取りにくい場合があります。そのため、学校は子供の聞こえに配慮し、通訳者や聞き取り支援システムなどのサポートを提供する必要があります。 教室の環境改善: 子供の聞こえに悪影響を与える可能性がある要素を除去することが重要です。たとえば、教室の騒音レベルを下げるために、カーテンやマットを設置することが考えられます。 演習やテストの配慮: 難聴の子供には、試験の時間制限の延長や、筆記ツールや補助機器を使用した試験の配慮が必要な場合があります。 スポーツやクラブ活動の配慮: 運動や音楽の活動に参加する際、子供の聞こえに合わせて特別な配慮が必要な場合があります。たとえば、コーチや監督には、子供が指示を聞き取れるように声を大きく出すことが必要です。 学校は子供の個別のニーズに合わせたサポートを提供するため、保護者や医師と協力して、難聴の子供に最適な教育環境を整えることが重要です。 この記事のPoint ・難聴には種類があり、検査をして原因や程度を確認する必要がある。 ・治療方法も個人によって異なり、医療機関で相談する必要がある。 ・難聴の子供が学校に通う場合、コミュニケーションのサポートや教室の環境改 善、演習や試験の配慮、スポーツやクラブ活動の配慮が必要で、学校では子供の 個別のニーズに合わせたサポートを提供する必要がある 文章、監修:野田昌生 イラスト:野田昌生

  • 治療編:気管切開術

    気管切開術は、息の通り道である気管を切開することで、気道の確保や痰の排出ルートの確保などの気道の管理を容易にするために行います。 気道の確保では、息の通り道が狭くなっている状態(喉が腫れている場合や外傷など)に対して行うことが多く、気道の管理では、唾や痰など分泌物を誤嚥して肺炎などのリスクを低下させる場合や、長期的に気管挿管(口や鼻から気管に長い管をいれる)を行う際に行われます。 手術の方法: 小児において、基本的に手術は全身麻酔で行い、手術時間の目安は約1時間程度です。 一般的に、手術の主な流れとしては以下の通りです。 1 頸部に1-2cmの皮膚切開をおき、皮下組織をわけて気管を露出させます 2 気管壁に1cm程度の窓をあけます 3 カニューレという呼吸のための短いチューブを挿入します 症例によっては、皮膚や気管を切開する部位を変えることがあります。 合併症: この手術で起こりうる合併症として、手術をしてすぐにおきるものと、時間が経ってからおきるものがあります。 <術直後の合併症> 手術をしてからすぐにおきるものとしては、以下のものがあります。 ・気道狭窄や出血による窒息(術中死亡の可能性) →術中は酸素化をモニタリングし、適宜吸引を行います ・術後肺炎、創部感染 →抗菌薬を投与します ・発声困難(必発) →術後の経過によって、発声可能なカニューレへ交換します ・疼痛 →鎮痛薬を投与します ・反回神経麻痺 →声のかすれが残存する可能性があります ・皮下気腫、縦郭気腫 →感染を起こさない場合は経時的に改善を図ります ・麻酔による合併症(肝腎機能障害、肺炎、肺塞栓、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、アレルギー、ショックなど) →予期せぬ出来事(致命的な合併症)が生じた場合は、その治療に専念し、手術を中断することもあります。 <術後晩期の合併症> ・カニューレ抜去困難症 ・気管腕頭動脈瘻による出血 ・カニューレの脱落や閉塞による窒息 合併症に対しては、起こらないように十分注意をはらうとともに、発症した場合も最大限の治療を行います。 代替治療について: 代わりの方法として、長期的に口から長いチューブを入れる気管挿管がありますが、喀痰排出などの気道管理やチューブ交換時の再挿管困難のリスクがあります。 手術を承諾されるかどうかは、患者さんやそのご家族の意思が尊重されます。承諾されない場合でも、診療上の不利益をうけることはありません。この手術・治療法に関してご不明な点がありましたら、耳鼻科専門医にご相談してください。 文章、監修:野田昌生 イラスト:野田昌生

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