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  • Q&A:「人工内耳って何?どんな人が対象になるの?」

    【人工内耳】 人工内耳は世界で最も普及している人工臓器の一つで、人工的に外部の音を電気刺激に変えて、内耳へと信号を伝えるデバイスのことです。 これにより、音が聞こえない方にも音やことばが聞こえるようになる可能性があります。 こどもでは特に、言葉の獲得に関して音が聞こえることは非常に重要です。 そのため、言葉を獲得するのに重要な時期において、補聴器などで音を大きくしても聞こえない方には、できるだけ早期に人工内耳を埋め込むことが必要となります。 【適応基準】 2022年日本耳科学会の小児人工内耳適応基準では、手術前から術後の療育まで一貫した協力体制がとれていることを前提とした上で、以下の基準を挙げています。(一部改変) 時期 ・原則体重8kg以上または1歳以上 ・言語習得期以後で聞こえなくなった場合で、補聴器の効果が十分でない高度難聴が確認された時 聴力 ・裸耳(補聴器などを装用していない場合)での平均聴力レベルが90dB以上、 ・確認できない場合は6ヶ月以上の最適な補聴器装用後、装用していても平均聴力レベルが45dBより改善しない場合 ・確認できない場合は6ヶ月以上の最適な補聴器装用後、装用していても最高語音明瞭度が50%以下の場合 補聴効果と療育 ・学習のために補聴の基本は両耳聴であり、両耳聴の実現のためには人工内耳は有用 例外的適応条件 ・髄膜炎後蝸牛骨化症例では手術年齢に関して例外となる ・既知の高度難聴をきたしうる難聴遺伝子バリアントを有し、かつABR等の聴力に関連した検査で反応が認められない場合 ・低音部に残聴があるが、1kHz-2kHz以上が聴取不能であるように子音の構音獲得に困難が予想される場合 中耳炎などの感染がある場合は禁忌とされています。 その他、 ・画像検査で人工内耳が挿入できる部位が確認できない場合 ・反復性の中耳炎がある場合 ・制御困難な髄液の噴出など、高度な内耳奇形を伴う場合 ・重複障害および中枢性聴覚障害がある場合 (人工内耳を使用しても、さらに中枢でうまく音の信号が伝わらない場合があります) 適応基準については、現状が基準にあっているのかどうかを判断する必要があります。 適切に検査や診断、治療ができる施設や耳鼻科専門医に相談することをお勧めします。 文章、監修:野田昌生 イラスト:野田昌生

  • 治療編:鼓膜形成術

    鼓膜形成術は、文字通り鼓膜を作り直す手術です。 鼓膜を作り直すことで ・音が伝わる仕組みを作り、聞こえをよくする ・感染の原因を無くし、中耳炎を防ぐ という二つの大きな目的があります。 主な適応としては、 ・鼓膜に穴があいてしまう鼓膜穿孔 ・穴が空いていることによって中耳炎を起こす慢性穿孔性中耳炎 があります。 鼓膜に空いている穴の大きさや部位、聴力などから、鼓膜形成術を行うか鼓室形成術を行うかを決めていきます。 ここでは、鼓膜形成術(接着法)についてご説明します。 手術の方法: この手術は小児の場合全身麻酔で行い、手術時間の目安は1時間程度です。程度や他の合併症などによって、時間は前後します。 一般的な手術の流れとしては、以下の通りです。 1 耳介の後方(前方や上方のこともあります)を切開し、結合織を採取します。 これは、鼓膜の再建材料になります。 2 耳の中から鼓膜を確認し、穿孔の縁部分を取り除きます。。 3 穿孔の部分に、採取した組織をあてます。その後、再建組織を生体のりで固定します。 ※1 手術方式によって、耳の中から内視鏡を使って手術をする場合があります。 ※2 最近では、鼓膜再生療法(リティンパ)というゼラチンスポンジや細胞の増殖因子を使う手術もあります。 主な合併症: この手術に関する主な合併症としては以下のものがあります。 1)術後感染; 抗菌薬などの薬の治療にもかかわらず、手術後に耳の感染・炎症が持続することがあります。 感染がひどいと鼓膜に再度穿孔が生じたり、治癒が遅れたり、術後の聴力が悪くなったりする可能性があります。 手術後しばらくは創部を汚したり、強く鼻をかんだり、外耳道に汚れた水を入れたりしないよう注意してください。また、鼻をすすることも鼓膜の凹みの原因になるので控えましょう。 2)術後聴力; 手術後もしばらくの間、聴こえが手術前と比べて悪くなることがあります。鼓膜や中耳腔の治癒が進み、聴力の安定が得られるのに個人差があります。 聴力改善のための手術をうけても、全例で聴力が上昇するとは限りません。時には手術後の治癒過程の障害や炎症の持続などにより、術後に聴力改善の得られないこともあります。 3)出血、痛み; 手術後に、傷から少量の出血がみられる事があり、まれに創部に血液が溜まることがあります。貯留した血液は自然と消失していくことが多いのですが、創を開いて除去が必要なこともあります。 手術後の痛みは強くないことがほとんどですが、痛むときは鎮痛剤などを用います。 4)皮膚感覚; 手術後当分の間、耳の周囲の皮膚の感覚が一時的に麻痺することが多いようです。 5)鼓膜穿孔; 術後早期、あるいは時間がたってから鼓膜に穿孔を生じることがあります。 中耳腔に圧がかかることや、中耳炎に罹患することなどで起こります。 小児は、成人とは異なる部分も多く、その特性について考慮しながら検査や治療方針の検討、必要なタイミングで手術にのぞむことが必要となります。 例えば、 ・こどもでは一般に急性中耳炎に罹患しやすく、耳管の機能も不良であること ・難聴による生活への影響が大きいこと ・術後期間が成人より長いため、再発や機能改善の度合いによる影響が大きいこと などが挙げられ、これらを踏まえて、手術の適応や術後の対応を行う必要があります。 この手術を承諾されるかどうかは、患者さんの意思が尊重されます。承諾されない場合でも、診療上の不利益をうけることはありません。 手術・治療法に関して、ご不明な点がありましたら、耳鼻科専門医にご相談してください。 文章、監修:野田昌生 イラスト:野田昌生

  • 治療編:鼓膜チューブ挿入術

    鼓膜チューブ挿入術は、その名の通り、鼓膜にチューブを入れることで、 「鼓室内の換気を改善し、中耳炎の再発を予防すること」を目的としています。 主に対象となる疾患は、 ・滲出性中耳炎 ・急性中耳炎 があります。 手術方法: 施設によって基準が異なり、全身麻酔で行うところもあれば、局所麻酔で行う場合もあります。 一般的には、手術時間は30分程度ですが、個人差があります。 手術の手順としてはシンプルで 1 鼓膜を専用のメスで切開し、鼓室内の貯留液を除去 2 鼓膜を切開した部位にシリコン製のチューブを挿入 することで終了とします。 合併症: 合併症としては、耳の中を触る際に、他の構造を傷つけてしまう可能性があり、以下のものが挙げられます。 ・出血(高位静脈球の損傷による大量出血を含む) ・外耳道損傷 ・耳小骨離断 多くは問題なく終了します。 その他に、以下の点が考えられます。 ・鼓室内異物(チューブが鼓室内へ脱落してしまう) ・鼓膜穿孔の残存(チューブが抜けた後も穴がのこる) 術後に関して: ・チューブ留置後は、鼓膜やチューブの状態、聴力の評価などで通院していただくことが多いです。施設により基準が異なりますが、当院では術後1ヶ月程度で観察しています。 ・チューブが体(耳)にあわず、異物反応として術後に耳漏が出たり、肉芽できたりすることや、入れたチューブがすぐに抜けてしまったり、あるいは抜かなければならないことがあります。 ・一般的には、チューブ留置中は、お風呂や顔に水がかかる程度の水遊びは可能です。汚れた水に潜る際には耳栓をしていただいています。また、耳漏がでたり、耳の聞こえの状態が悪い場合は、水泳など避けた方がよいでしょう。 ・チューブが抜けたあと(ほとんどの場合は自然に脱落します)に、滲出性中耳炎の再発がある場合、再びチューブ留置の手術が必要となることがあります ・チューブが抜けたあとの鼓膜穿孔は、ほとんどの場合は自然にふさがります。しかし、穿孔が残る場合には、時期をみて鼓膜の穴を閉鎖する手術(鼓膜形成術、鼓室形成術)が必要となることがあります。 代替治療について: 対象となる疾患によって異なりますが、内服による治療や鼓膜切開(鼓膜を切るのみでチューブは入れない)ことがあります。すでに内服加療を行った上で改善がない場合などには、鼓膜チューブ挿入術が必要となることが多いです。 治療に関しては、メリットとデメリットの両者を考えて選択する必要があります。 手術を承諾されるかどうかは、患者さんの意思が尊重されます。承諾されない場合でも、診療上の不利益をうけることはありません。まずは、専門医にご相談ください。 文章、監修:野田昌生 イラスト:野田昌生

  • 治療編:被膜内口蓋扁桃切除術、アデノイド切除術

    被膜内扁桃切除術は、扁桃腺を被膜の内側から切除して取り除く手術です。 また、アデノイド切除術は、鼻の突き当たりにあるアデノイドという免疫の組織を切除する手術です。 主に、いびきや睡眠時無呼吸症に対して、息の通り道を拡げるために行います。 手術について: 基本的に全身麻酔で行い、手術時間は1時間程度です。程度やそれまでの感染の既往などにより、前後します。 手術は以下のような流れで行われます。 1 懸垂頭位(寝た状態で頭を少し低くした体位です)で、口を開けるために、開口器という器具をかけて行います。 2 切除の対象となる口蓋扁桃を、専用の機械で吸引切除します。 3 被膜に包まれた中身の組織のみを処理し、扁桃組織は90%以上切除します。 4 アデノイドという鼻の突き当たりの組織も併せて、同様の機械で吸引切除します。 5 最後に切除した創面を圧迫、結紮、電気凝固で止血して終了とします。 合併症: この手術に関する主な合併症として、以下のものがあげられます。 ・後出血: 手術後の出血のことですが、この手術に関しては最も注意する点の一つです。 大きく早期出血(術後24時間以内)と、晩期出血(術後7日目前後)に分けられてれてお り、必要時には再度全身麻酔をかけて止血術を行います 従来の扁桃摘出術(被膜ごと摘出する方法)では3-5%の後出血率と言われていますが、 被膜内切除では0.5%程度と言われます。 ・扁桃組織の再増殖: 手術後も、扁桃組織やアデノイドが再度増殖することがあります。大きくなることによ り、閉塞症状が出る場合は再手術の可能性があります。従来法と比べてリスクが高いとい う報告はありません ・舌や口蓋垂のしびれや腫れ、口内炎、口角炎 ・喉の痛み、味覚障害 これらは、口を開けたり、口の中を操作したりすることによります。 代替治療について: 睡眠時無呼吸に関しては、CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)による加療も選択肢となります。 手術を承諾されるかどうかは、患者さんの意思が尊重されます。承諾されない場合でも、診療上の不利益をうけることはありません。 この手術・治療法に関してご不明な点がありましたら、専門医を受診することをお勧めします。 文章、監修:野田昌生 イラスト:野田昌生

  • 治療編:耳瘻管摘出術

    耳瘻管摘出術は、先天性耳瘻孔に対して繰り返す感染の予防や治療のために行う手術です。 感染の原因となる耳瘻管を摘出することで根本的な感染源の治療をします。 手術方法: 成人では局所麻酔で行うこともできますが、小児では全身麻酔で行うことが多いです。 手術時間は約1時間ですが、部位や感染の程度などから前後します。 手術の流れとしては、以下の方法が一般的に行われています。 1 瘻孔周囲の皮膚を紡錘形に切開します 2 瘻管を周囲の組織から剥離して摘出します 3 耳介軟骨に癒着していたり、軟骨を貫通している場合は耳介軟骨の一部も合併切除します 4 瘻管の走行によっては、耳の前や後ろの部位を追加で切開することが必要になります 合併症: 手術の主な合併症としては、出血や創部の感染の他に、以下のものが挙げられます。 ・神経の損傷(周囲の神経を傷つけてしまう可能性があります。) ・瘻孔遺残による感染の再発 → 追加で手術が必要になる場合もあります 代替治療について: 感染に対して、抗生剤や局所の切開排膿を行うことがありますが、根本を治療しているわけではありません。感染を繰り返すほど、周囲組織との癒着や皮膚が傷ついてしまう可能性があります。 手術を承諾されるかどうかは、患者さんやそのご家族の意思が尊重されます。承諾されない場合でも、診療上の不利益をうけることはありません。手術や治療法に関して、まずは専門医にご相談ください。 文章、監修:野田昌生 イラスト:野田昌生

  • 治療編:口蓋扁桃摘出術

    口蓋扁桃摘出術は、扁桃腺の一つで、口を開けた時にみえる口蓋扁桃(こうがいへんとう)を摘出する手術です。 手術の主な適応とその目的としては、以下のものがあります。 ・習慣性扁桃炎(繰り返す扁桃炎)の改善 ・IgA腎症など扁桃を原因とした疾患に対する治療(病巣(びょうそう)扁桃といいます) ・睡眠時無呼吸症 手術の方法: 全身麻酔で行い、手術時間は約1時間程度です。 炎症の程度や口の開き具合、その他の状態などによって前後します。 手術は以下のような流れで行われます。 1 懸垂頭位(寝た状態で頭を少し低くした体位です)で、口を開けるために、開口器とい う器具をかけて行います。 2 口蓋扁桃を、被膜を剥離して摘出します。 3 摘出後の創面を圧迫、結紮、電気凝固で止血します 扁桃組織の被膜外には複数の血管があり、確実な止血が重要となります。 合併症: この手術に関する主な合併症として、以下のものがあげられます。 ・後出血: 手術後の出血のことですが、この手術に関しては最も注意する点の一つです。 大きく早期出血(術後24時間以内)と、晩期出血(術後7日目前後)に分けられてれてお り、必要時には再度全身麻酔をかけて止血術を行います。 従来の扁桃摘出術(被膜ごと摘出する方法)では3-5%の後出血率と言われていますが、 被膜内切除では0.5%程度と言われます。 ・扁桃組織の再増殖: 手術後も、扁桃組織やアデノイドが再度増殖することがあります。 大きくなることにより、閉塞症状が出る場合は再手術の可能性があります。 従来法と比べてリスクが高いという報告はありません。 ・舌や口蓋垂のしびれや腫れ、口内炎、口角炎 ・喉の痛み、味覚障害 これらは、口を開けたり、口の中を操作したりすることによります。 代替治療について: 炎症に対しては、抗菌薬や抗炎症薬による加療があります。 病巣扁桃に関しては、ステロイド薬、免疫抑制薬など内科的加療があります。 睡眠時無呼吸に関しては、CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)による加療も選択肢となります。 現状としてどの程度の状態なのかを踏まえて、手術を受けるメリット・デメリットから決定する必要があります。 手術を承諾されるかどうかは、患者さんの意思が尊重されます。承諾されない場合でも、診療上の不利益をうけることはありません。 この手術・治療法に関してご不明な点がありましたら、専門医を受診することをお勧めします。

  • 治療編:人工内耳埋め込み術

    人工内耳埋め込み術は、人工内耳という内耳を直接電気刺激する機械を埋め込むことで、音を入力する仕組みを作り、聞こえの悪い方でも聴力の改善を図る手術です。 【適応基準】 補聴器でも効果がないような聞こえの方を対象としており、小児と大人では適応基準が異なっています。これは、小児では言葉の獲得を考える必要があることや、うまく聞こえの検査ができない場合、手術に耐えうる体格などを考慮してのことです。 2022年日本耳科学会の小児人工内耳適応基準では、手術前から術後の療育まで一貫した協力体制がとれていることを前提とした上で、適応基準を挙げています。 Q&A:「人工内耳って何?どんな人が対象になるの?」 適応基準に関しては、手術手技やデバイスの進歩、これまでのデータを元にして、改訂されることがあります。ご不明な点がありましたら、お気軽に専門医にご相談ください。 手術の方法: 手術は全身麻酔で行い、手術時間の目安は約2-3時間ですが個人ごとに大きく異なります。 手術は以下のような流れで行います。 手術では、2−4にかけて、人工内耳の電極をいれるルートを作成してから、実際に電極を入れるような流れです。 1 耳の後方から側頭部にかけて皮膚を切開します (当院では、手術室入室後に耳周囲の髪の毛を剃ります) 2 側頭骨を一部削り、人工内耳本体を埋め込むスペースを確保します 3 側頭骨をさらに削り、鼓室までの電極を通す経路を作ります 4 鼓室内の構造を確認した後、内耳(蝸牛)に孔を開けます 5 電極を蝸牛内に挿入します 6 ご本人の骨や皮下結合組織を採取して、電極を固定します 7 術後、全身麻酔下に人エ内耳の動作テストを行います 術後について: 当院では、手術後2週間前後で「音入れ」(初めて人工内耳を介した音を入れる)を始め、1~2カ月位は、週に1回程度電極の調整、マッピングを含めたリハビリテーションがあります。言語獲得後の中途失聴者が多くを占める成人と、言語習得前失聴者が主体の小児とでリハビリテーションの頻度や内容が異なります。一般的には小児例の方が頻回のリハビリテーションを必要とする場合が多いです。 人工内耳装用状態が安定すれば徐々にリハビリテーションの間隔を伸ばしていきますが、その場合でも、半年か1年に1回位の定期的なチェックが必要です。 合併症: 本手術に関連した主な合併症として以下のものが挙げられます。 1)術後感染; 術後に創部の感染や髄膜炎の予防のため抗菌薬を投与しますが、まれに感染が出現・持続することがあります。100人に1人程度の確率で埋め込んだ人工内耳が原因で中耳や内耳に感染を生じることがあるといわれています。感染がひどいと再手術にて創部を清掃したり、場合によっては電極を取り除く必要があります。 手術後しばらくは創部を汚したり、鼻を強くかんだりしないよう注意してください。 2)めまい; 手術後に、めまいや吐き気が起こることがあります。術後数日間続くこともありますが、通常は一時的で治ることがほとんどです。その後の軽いふらつき感や、頭を急に動かした時のめまい感も時間がたつにつれて改善していきます。 3)味覚障害、術側の舌のしびれ(約5%); 手術後に、手術を受けた側の舌半分がしびれた感じがして、食べ物の味がわかりにくくなることがあります。 鼓索神経(こさくしんけい)という味覚の神経が手術部位の近くを走行しているために起こります。 4)顔面神経麻痺(1%以下); 顔面神経は耳の中を走行しています。手術中に顔面神経が損傷されると手術を受けた側の顔面の筋肉の動きが悪くなります。顔面神経の障害が強い場合には、皮膚の知覚神経の一部を移植して顔面神経を再建することになります。 5)出血、痛み; 手術後に、傷から少量の出血がみられる事があり、まれに創部に血液が溜まることがあります。溜まった血液は自然と消失していくことが多いのですが、創を開いて除去が必要なことがあります。 手術後の痛みの程度には個人差があります。痛みが強いときは鎮痛剤で抑えますので、医師、看護師にお申し出ください。 6)皮膚感覚; 手術後、耳の周囲の皮膚の感覚が一時的に麻痺します。麻痺は徐々に改善します。 7)脳脊髄液漏; 手術中および手術後に脳脊髄液が漏れ出ることがあります。その場合、頭部挙上でベッド上安静の延長や、背中から脊髄腔に細い管を入れてしばらくベッド上で安静にする必要があります。また再手術により瘻孔を塞がなければならない場合があります。 8)髄膜炎;人工内耳の術後合併症として、髄膜炎の報告があります。髄膜炎の発症率は1000人に1人くらいとされています。術後に必要十分な、感染予防の抗菌薬治療をおこなうことで予防しています。 9)稀に内耳より中枢が原因の難聴が存在します。この場合は人工内耳埋め込み術を行っても、聞き取りの改善が得られないことがあります。 代替治療について: 人工内耳の適応となる方では、補聴器装用はその効果は限定的と考えられ、音への反応や言語発達が十分でないことが予想されます 手術を承諾されるかどうかは、患者さんの意思が尊重されます。承諾されない場合でも、診療上の不利益をうけることはありません。 この手術・治療法に関して専門医にお気軽にご相談してください。

  • 治療編:鼓室形成術(真珠腫性中耳炎)

    鼓室形成術は、鼓室という中耳にある空間を作る手術です。 ・病変の除去や処理 ・聞こえを作り直す伝音再建(でんおんさいけん) の二つの大きな目的があります。 中耳に病変がある疾患が適応となり、主なものとして ・真珠種性中耳炎 ・慢性中耳炎や鼓膜穿孔 ・耳小骨奇形や鼓室硬化症による伝音難聴 が挙げられます。 最近では手技の多様化や組み合わせにより、施設や術者、症例ごとに多種多様の術式が存在しています。 今回は、とくに真珠腫性中耳炎を対象にした場合についてご説明します。 手術の目的: 真珠腫は上皮組織(皮膚のような組織)が鼓膜の内側(中耳腔)へ向かって入り込み、内部で増殖するものです。 中耳内で増殖し続けると、周囲の骨を破壊する可能性があるため、進行するといろいろな合併症を伴う危険があります。例えば、内耳障害に伴う神経性難聴やめまい、顔面神経麻痺などが挙げられます。 真珠腫の進行にともなう合併症を防ぐためには、真珠腫を早期にしっかりと除去し、聴力を可能な限り温存や改善することを目標に手術を行います。 手術の方法: この手術は小児の場合、全身麻酔で行い、手術時間の目安は2〜3時間です。 進展部位や他の合併症などによって、時間は前後します。 一般的な手術の流れとしては、以下の通りです。 1 耳介の後方(前方や上方のこともあります)を切開し、側頭部の筋膜や結合織を採取し ます。これは、鼓膜の再建材料になります。 2 側頭骨や外耳道の骨を一部削り、鼓膜の奥にある鼓室に到達し、側頭骨内や鼓室内の真 珠腫を確認・除去します。 3 耳小骨(音を伝える仕組みの骨)を確認し、必要があれば一部摘出します。 4 耳小骨を摘出した場合は、摘出した耳小骨や耳介軟骨などを用いて音を伝える仕組みを 再建します。 5 鼓膜や外耳道の皮膚で足りない部分は、採取した組織をあてます。再建組織を生体のり で固定します。 6 止血や鼓膜の安定のため、外耳道内にガーゼを挿入します ※1 手術方式によって、耳の中から内視鏡を使って手術をする場合や、外耳道の骨を削ら ずに操作をする場合があります。 ※2 真珠腫病変の程度がひどい場合には、手術を2回に分けて行わねばならない事があり ます。この場合1回目の手術では、病変を取り除き炎症の無いきれいな耳を作り、2 回目の手術で聞こえの再建を行う事になります。手術が二回必要になるか否かの判断 は一回目の手術時に中の状態を見て決めます。 主な合併症: この手術に関する主な合併症としては以下のものがあります。 1)術後感染; 抗菌薬などの薬の治療にもかかわらず、手術後に耳の感染・炎症が持続することがあります。感染がひどいと鼓膜に穿孔が生じたり、治癒が遅れたり、術後の聴力が悪くなったりする可能性があります。 手術後しばらくは創部を汚したり、強く鼻をかんだり、外耳道に汚れた水を入れたりしないよう注意してください。また、鼻をすすることも鼓膜の凹みの原因になるので控えましょう。 2)術後聴力; 手術後もしばらくの間、聴こえが手術前と比べて悪くなることがあります。鼓膜や中耳腔の治癒が進み、聴力の安定が得られるのに個人差がありますが、1~3ヵ月程度かかります。二段階の手術が必要な場合には、一回目の手術後に聴力が低下することもあります。 聴力改善のための手術をうけても、全例で聴力が上昇するとは限りません。時には手術後の治癒過程の障害や炎症の持続などにより、術後に聴力改善の得られないこともあります。また、非常にまれなのですが、内耳障害がおこると、聴力が手術前よりも悪くなる可能性もあります。中耳の手術は、きわめて微細な手術なので、理論的に期待されたとおりの聴力改善が得られない場合もある点を御了承下さい。 3)耳鳴; 手術後、特にガーゼが入っている期間は、耳鳴が大きく感じられることがあります。これは次第に良くなる場合が多いようです。非常にまれですが、内耳障害がおこり、難聴の増強がみられる場合などには、耳鳴も強く感じられます。 4)めまい; 手術後に、内耳の過敏性のために、めまいや吐き気が起こることがあります。術後1~2日間で自然におさまるものや、数日間続くこともありますが、いずれ治ります。その後の、軽いふらつき感や、頭を急に動かした時のめまい感もいずれ改善されます。手術前から時々めまいのある場合を除き(真珠腫により内耳が一部壊れている場合など)、めまいがいつまでも続くことは稀です。 5)味覚障害、舌のしびれ感(5%程度); 手術後に、手術を受けた側の舌半分がしびれたり、食べ物の味がわからなくなることがあります。この部分を支配している神経が、鼓膜の近くを走っていて、手術中にこの神経を障害するためにおこります。多くの場合、数週間から数ヵ月間で改善されます。 6)顔面神経麻痺(1%以下); 顔面神経は耳の中を走っているため、手術後まれに手術を受けた側の顔面の筋肉の動きが一時的に悪くなることがあります。これは神経をとりまく骨の一部がもともと無かったり、神経の腫れがある場合におきる事がありますが、いずれ日時の経過と共に改善されることが多いものです。 まれに、手術中に顔面神経が障害されたり、時には病変(腫瘍など)の除去のために、神経を切らねばならない場合もあります。 7)脳脊髄液漏; 手術中および手術後に脳脊髄液が漏れ出ることがあります。その場合、頭部挙上でベッド上安静の延長や、背中から脊髄腔に細い管を入れてしばらくベッド上で安静にする必要があります。また再手術により瘻孔を塞がなければならない場合があります。 8)出血、痛み; 手術後に、傷から少量の出血がみられる事があり、まれに創部に血液が溜まることがあります。貯留した血液は自然と消失していくことが多いのですが、創を開いて除去が必要なこともあります。 手術後の痛みは強くないことがほとんどですが、痛むときは鎮痛剤などを用います。 9)皮膚感覚; 手術後当分の間、耳の周囲の皮膚の感覚が一時的に麻痺することが多いようです。 10)鼓膜穿孔; 術後早期、あるいは時間がたってから鼓膜に穿孔を生じることがあります。 中耳腔に圧がかかることや、中耳炎に罹患することなどで起こります。 小児は、成人とは異なる部分も多く、その特性について考慮しながら検査や治療方針の検討、必要なタイミングで手術にのぞむことが必要となります。 例えば、 ・こどもでは一般に急性中耳炎に罹患しやすく、耳管の機能も不良であること ・難聴による生活への影響が大きいこと ・術後期間が成人より長いため、再発や機能改善の度合いによる影響が大きいこと などが挙げられ、これらを踏まえて、手術の適応や術後の対応を行う必要があります。 この手術を承諾されるかどうかは、患者さんの意思が尊重されます。承諾されない場合でも、診療上の不利益をうけることはありません。 手術・治療法に関して、ご不明な点がありましたら、耳鼻科専門医にご相談してください。

  • 治療編:鼓室形成術(慢性中耳炎や耳小骨奇形など)

    鼓室形成術は、鼓室という中耳にある空間を作る手術です。 ・病変の除去や処理 ・聞こえを作り直す伝音再建(でんおんさいけん) の二つの大きな目的があります。 中耳に病変がある疾患が適応となり、主なものとして ・真珠種性中耳炎 ・慢性中耳炎や鼓膜穿孔 ・耳小骨奇形や鼓室硬化症による伝音難聴 が挙げられます。 最近では手技の多様化や組み合わせにより、施設や術者、症例ごとに多種多様の術式が存在しています。 今回は、 ・慢性中耳炎や鼓膜穿孔 ・耳小骨奇形や鼓室硬化症による伝音難聴 を対象にした場合についてご説明します。 手術の目的: これらの疾患では、鼓室内の炎症やその産物、鼓膜の穿孔、耳小骨の変形や固着(固まってしまう)ことで、聞こえが悪くなっています。そのため、病変を取り除くことで、聞こえを改善させることを目的とします。 また、炎症がひどい場合に、根本的な治療を行うことで、炎症が起きないようにして耳だれを防ぐことにもつながります。 手術の方法: この手術は小児の場合、全身麻酔で行い、手術時間の目安は2〜3時間です。 進展部位や他の合併症などによって、時間は前後します。 一般的な手術の流れとしては、以下の通りです。 1 耳介の後方(前方や上方のこともあります)を切開し、側頭部の筋膜や結合織を採取し ます。これは、鼓膜の再建材料になります。 2 側頭骨や外耳道の骨を一部削り、鼓膜の奥にある鼓室に到達し、鼓室内の病変を確認・ 除去します。 3 耳小骨(音を伝える仕組みの骨)を確認し、必要があれば一部摘出します。 4 耳小骨を摘出した場合は、摘出した耳小骨や耳介軟骨などを用いて音を伝える仕組みを 再建します。 5 鼓膜や外耳道の皮膚で足りない部分は、採取した組織をあてます。再建組織を生体のり で固定します。 6 止血や鼓膜の安定のため、外耳道内にガーゼを挿入します ※1 手術方式によって、耳の中から内視鏡を使って手術をする場合や、外耳道の骨を削ら ずに操作をする場合があります。 主な合併症: この手術に関する主な合併症としては以下のものがあります。 1)術後感染; 抗菌薬などの薬の治療にもかかわらず、手術後に耳の感染・炎症が持続することがあります。感染がひどいと鼓膜に穿孔が生じたり、治癒が遅れたり、術後の聴力が悪くなったりする可能性があります。 手術後しばらくは創部を汚したり、強く鼻をかんだり、外耳道に汚れた水を入れたりしないよう注意してください。また、鼻をすすることも鼓膜の凹みの原因になるので控えましょう。 2)術後聴力; 手術後もしばらくの間、聴こえが手術前と比べて悪くなることがあります。鼓膜や中耳腔の治癒が進み、聴力の安定が得られるのに個人差がありますが、1~3ヵ月程度かかります。 聴力改善のための手術をうけても、全例で聴力が上昇するとは限りません。時には手術後の治癒過程の障害や炎症の持続などにより、術後に聴力改善の得られないこともあります。また、非常にまれなのですが、内耳障害がおこると、聴力が手術前よりも悪くなる可能性もあります。中耳の手術は、きわめて微細な手術なので、理論的に期待されたとおりの聴力改善が得られない場合もある点を御了承下さい。 3)耳鳴; 手術後、特にガーゼが入っている期間は、耳鳴が大きく感じられることがあります。これは次第に良くなる場合が多いようです。非常にまれですが、内耳障害がおこり、難聴の増強がみられる場合などには、耳鳴も強く感じられます。 4)めまい; 手術後に、内耳の過敏性のために、めまいや吐き気が起こることがあります。術後1~2日間で自然におさまるものや、数日間続くこともありますが、いずれ治ります。その後の、軽いふらつき感や、頭を急に動かした時のめまい感もいずれ改善されます。手術前から時々めまいのある場合を除き(真珠腫により内耳が一部壊れている場合など)、めまいがいつまでも続くことは稀です。 5)味覚障害、舌のしびれ感(5%程度); 手術後に、手術を受けた側の舌半分がしびれたり、食べ物の味がわからなくなることがあります。この部分を支配している神経が、鼓膜の近くを走っていて、手術中にこの神経を障害するためにおこります。多くの場合、数週間から数ヵ月間で改善されます。 6)顔面神経麻痺(1%以下); 顔面神経は耳の中を走っているため、手術後まれに手術を受けた側の顔面の筋肉の動きが一時的に悪くなることがあります。これは神経をとりまく骨の一部がもともと無かったり、神経の腫れがある場合におきる事がありますが、いずれ日時の経過と共に改善されることが多いものです。 まれに、手術中に顔面神経が障害されたり、時には病変(腫瘍など)の除去のために、神経を切らねばならない場合もあります。 7)脳脊髄液漏; 手術中および手術後に脳脊髄液が漏れ出ることがあります。その場合、頭部挙上でベッド上安静の延長や、背中から脊髄腔に細い管を入れてしばらくベッド上で安静にする必要があります。また再手術により瘻孔を塞がなければならない場合があります。 8)出血、痛み; 手術後に、傷から少量の出血がみられる事があり、まれに創部に血液が溜まることがあります。貯留した血液は自然と消失していくことが多いのですが、創を開いて除去が必要なこともあります。 手術後の痛みは強くないことがほとんどですが、痛むときは鎮痛剤などを用います。 9)皮膚感覚; 手術後当分の間、耳の周囲の皮膚の感覚が一時的に麻痺することが多いようです。 10)鼓膜穿孔; 術後早期、あるいは時間がたってから鼓膜に穿孔を生じることがあります。 中耳腔に圧がかかることや、中耳炎に罹患することなどで起こります。 小児は、成人とは異なる部分も多く、その特性について考慮しながら検査や治療方針の検討、必要なタイミングで手術にのぞむことが必要となります。 例えば、 ・こどもでは一般に急性中耳炎に罹患しやすく、耳管の機能も不良であること ・難聴による生活への影響が大きいこと ・術後期間が成人より長いため、再発や機能改善の度合いによる影響が大きいこと などが挙げられ、これらを踏まえて、手術の適応や術後の対応を行う必要があります。 この手術を承諾されるかどうかは、患者さんの意思が尊重されます。承諾されない場合でも、診療上の不利益をうけることはありません。 手術・治療法に関して、ご不明な点がありましたら、耳鼻科専門医にご相談してください。 文章、監修:野田昌生 イラスト:野田昌生

  • Q&A 子供が鼻血をだしたら受診したほうがいいの?鼻血がでたらどうすればいい?

    鼻出血はいわゆる”はなぢ”のことで、鼻を触ったり、鼻の粘膜が乾燥したりした場合に、粘膜が傷ついて血がでてしまうものです。 「疾患編:鼻出血」 一般的に軽度の鼻血の場合は、以下のような対処法があります。 ・鼻を強くかまないようにして、ゆっくりと口呼吸をする。 ・前かがみになって、鼻の柔らかい部分(鼻翼)を指で軽くつまんで、圧迫する。 ・冷たい湿布やアイスパックを鼻の上部にあてる。 ・できるだけ静かにして、リラックスする。 以上のような対処法を試しても、鼻血が止まらない場合、または頻繁に鼻血を出すようになった場合は、他の原因がある場合や出血量を考慮して、医療機関で受診することをお勧めします。 他の原因とは、例えば、鼻の中に異物が詰まっている場合や腫瘍、血管の異常がある場合などです。

  • Q&A 副鼻腔炎と言われました。どんな病気ですか?

    副鼻腔炎は、副鼻腔と呼ばれる空洞が炎症を起こす状態を指します。 副鼻腔は、鼻の中にあり、空気の通り道となっています。 そこに炎症がおきている副鼻腔炎では、鼻づまりや痛み、頭重感、発熱、咳・喀痰などの症状を引き起こすことがあります。 副鼻腔炎は急性期のものと、長くつづく慢性期のものに分けられます。 急性期の原因は、ウイルスや細菌の感染だったり、アレルギーや空気中の汚染物質などの鼻炎に続いて起こるもの、歯の炎症から起こるもの、カビがあるものなど様々です。 副鼻腔炎を引き起こす原因を特定することで、治療方法を選択することができます。 代表的な副鼻腔炎の治療には、抗菌薬や去痰薬の内服、吸入などがあります。 また、副鼻腔炎を予防するためには、受動喫煙や煙などの汚れた環境を避け、アレルギーを持つ人はアレルギー症状を抑えるために適切な対策をとることが重要です。 長く続いてしまい、薬による加療でも改善がない場合や、重症化すると手術が必要となる場合もありますので、症状が続く場合は専門医に相談することをお勧めします。 Point ・副鼻腔炎は鼻の空間である副鼻腔に炎症がおきること ・ウイルスや細菌の感染、歯などが原因となり、それぞれにあわせた治療が必要となる ・内服加療で改善がない場合や重症化した場合では手術加療も適応となる 文章、監修:野田昌生 イラスト:野田昌生

  • Q&A:「子供がアレルギー性鼻炎と言われました。なぜアレルギー性鼻炎になるんですか?どんなことに注意すれば良いですか?」

    アレルギー性鼻炎とは、花粉やハウスダストなどのアレルゲンによって鼻の粘膜が炎症を起こす病気です。いわゆる花粉症もこの一つにあたります。 こどもがアレルギー性鼻炎になる原因には、主に花粉やダニ、カビ、ペットの毛などのアレルゲンによって引き起こされます。 家族歴や環境の要因、食物アレルギーや喘息などのアレルギー素因などが関連した要素として挙げられます。 こどもの場合は大人と同様にくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみや充血、咳などが主な症状として現れます。 治療の面では、子供の花粉症には、抗ヒスタミン薬や鼻炎用スプレー、アレルギー免疫療法などが用いられます。大人の花粉症にも同様の治療法がありますが、加えて、抗炎症薬や鎮痛剤なども用いられる場合があります。 アレルギー性鼻炎の治療には、アレルゲンの対策をすることも有効です。 例えば花粉症の場合は、マスクを着用したり、ワセリンの塗布、外出後に衣類を綺麗に保つことも効果的です。 注意点としては、子供の花粉症は、症状が慢性化している場合や、喘息やアトピー性皮膚炎などの合併症がある場合は、市販薬ではなく、適切な医療機関で診断・治療を受けた上で治療をすることが重要です。 また、アレルギーの薬の副作用で眠気が出る場合があります。 アレルギー性鼻炎自体でも、鼻づまりやくしゃみなどの症状が悪化したり、眠気があることで学校生活にも影響が出ることがあります。 早期の治療や予防が重要です。定期的に受診して、医師の指導に従って治療してください。 文章、監修:野田昌生 イラスト:野田昌生

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