突然、顔の半分が動かなくなる「顔面神経麻痺」。日常生活に大きな支障が出るため、不安になる方も多いと思います。後遺症を防ぐために、最新のガイドラインに基づいた対処法を解説します。
- 顔面神経麻痺の後遺症は予防できる
- 最新の診療ガイドラインに沿った治療
- 中枢性か末梢性かで対応が異なる
後遺症のリスクを下げるには、発症後の初期対応が非常に重要です。気づいたらすぐに専門医へ相談を!
顔面神経麻痺の主な症状
- 片側の顔が突然動かなくなる
- 口がゆがむ、笑えない
- まぶたが閉じにくくなる
- 味覚の変化、涙や唾液の分泌異常
- 耳の後ろの痛みや違和感
顔面神経麻痺の原因・病気になり易い方

顔面神経麻痺は「ベル麻痺」や「ラムゼイ・ハント症候群」が主な原因で、全体の2/3を占めます。ウイルス感染(特にVZV)、寒冷刺激、過労などが誘因とされます。糖尿病などの基礎疾患がある方、冬場やストレスの多い環境にある方は要注意です。
顔面神経麻痺の検査/診断の方法
まず視診・問診を行い、顔面の動き(前頭筋含む)から中枢性か末梢性かを判別します。補助診断として、ENoG(Electroneuronography)やNET(神経興奮性検査)により軸索変性の有無を評価します。
- ENoG値10%未満:予後不良
- ENoG値40%以上:後遺症なく回復可能
診断は多くの場合、発症から10〜14日で確定可能です。
治療の方法・回復期間の目安
急性期(発症から1週間以内)はステロイド治療(プレドニゾロン)を基本とし、必要に応じて抗ウイルス薬を併用します。重症例にはステロイド大量投与や入院加療が行われることもあります。
- ENoG 10%未満の重度例や治療抵抗性には顔面神経減荷術を検討
- 回復期間は軽症で2〜3週間、中等症〜重症では3〜6か月以上
半年経過しても改善が乏しい場合は、形成外科的治療の対象になることもあります。
顔面神経麻痺の類似症状
脳卒中、ラムゼイ・ハント症候群、一過性脳虚血発作(TIA)など
顔面神経麻痺にならないための予防・日頃のケア

- ストレスや過労を避ける、十分な睡眠をとる
- 冬場は顔を冷やさないよう防寒する
コーヒーなどカフェイン飲料は血管を収縮させる作用があるため、顔面の血流に影響を与える可能性があります。特に冷えと併発すると、神経の働きに影響を及ぼすリスクも。適量を心がけ、飲むタイミングにも注意しましょう。
さいごに
顔面神経麻痺は重篤に思える症状が突然現れますが、多くの方が適切な診断と治療により回復しています。今はわりと後遺症のリスクも軽減できるようになっております。不安を感じたら、ぜひ耳鼻科専門医にご相談ください。