気道熱傷は、呼吸器官が高温の気体や煙、化学物質によって損傷を受けることによって発生します。
小児では、誤って熱い飲み物や食べ物を飲み込んだり、火災によって、熱い空気を吸うことなどが原因となります。気道熱傷は、呼吸困難、呼吸器官の損傷、肺炎などの合併症を引き起こす可能性があり、重篤な状態に至ることがあります。

病態について

気道熱傷は、呼吸器官が高温の気体や煙、化学物質によって損傷を受けることによって発生します。さらに奥まで行くと、気管や気管支、肺胞にまで及ぶ場合があり、呼吸困難、呼吸器官の損傷、肺炎などのより高度な合併症を引き起こす可能性があります。

必要な検査とその所見について

まずは気道が保たれている状態か、どこに熱傷があり、今後ひどくならないかについて見ていくことが重要になります。そのため、気道熱傷の診断は、症状や病歴、火傷の程度、高温の原因物質、呼吸器官の影響などを総合的に判断することによって行われます。必要に応じて、内視鏡検査やレントゲンなどの画像検査、血液検査などが実施されます。

治療方法について

治療方法としては酸素療法、ステロイドや抗菌薬の投与などが行われます。
何より、息の通り道を保つことが重要となり、重度の場合は、気管挿管や気管切開を行い、集中治療室に入院した上で、人工呼吸器による呼吸器支援が必要になる場合があります。

治療を考える際の注意点としては、早期に治療を開始することが重要であり、専門医による治療が必要な場合もあるため、迅速な診断を受けることが大切です。また、熱傷を受けてすぐの所見では問題がなくても、時間が経ってから徐々に気道が腫れてくる場合もあります。そのため、時間をおいて経過を見ていく必要があります。

POINT
  • 気道熱傷は、息の通り道が高温の物質によって損傷を受けて発生する
  • 小児では、誤って熱いものを飲んだり、火災で熱い空気を吸うことでおこる
  • 経過観察や投薬を行い、ひどい場合には気道確保をした上での呼吸管理が必要となる
  • 受傷してすぐには所見がわずかであっても、時間をおいてひどくなる場合があり、時間をおいての観察することが重要となる
野田 昌生

この記事の監修

野田 昌生

  • 自治医科大学 耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 講師
  • 耳鼻科専門医 医学博士