「ずっと鼻水が止まらない」「市販薬を飲んでも効かない」——そんな経験はありませんか?それは単なる風邪ではなく、「副鼻腔炎」や「アレルギー性鼻炎」の可能性があります。実は、日本人の約4割がアレルギー性鼻炎を持ち、通年性と季節性を合わせるとその割合はさらに高まります。
本記事では、風邪・副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎の違いを、症状・持続期間・必要な検査や治療の観点からわかりやすく解説します。
「鼻水の性状」「症状の持続期間」「併発する症状」が目安です。

風邪と違って、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎にはそれぞれ特有の症状があります。
まず鼻水の状態ですが、風邪ではさらさらから粘性のある鼻水へと変化します。一方、副鼻腔炎では黄色や緑色の膿のような鼻水が長期間続く傾向があり、アレルギー性鼻炎では透明で水のような鼻水が繰り返し出ます。
次に、症状が続く期間にも違いがあります。風邪は通常1週間程度で治まりますが、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎は数週間から数か月に及ぶことも珍しくありません。
また、風邪は発熱やのどの痛みなど全身症状が目立つ一方で、副鼻腔炎は顔の痛みや頭重感、アレルギー性鼻炎では目のかゆみやくしゃみといった特有の症状がみられるため、これらを総合的に見ることで違いが判断できます。
症状 | 風邪 | 副鼻腔炎 | アレルギー性鼻炎 |
鼻水の性状 | 透明 → 粘性 | 黄色~緑色の膿状 | 透明で水のよう |
継続期間 | 数日から1週間程度 | 2週間以上続くことも | 数週間~季節全体 |
他の症状 | 発熱、咽頭痛など | 顔面痛、頭重感 | くしゃみ、目のかゆみ |
なぜ長引く?アレルギー性鼻炎と副鼻腔炎のメカニズム

アレルギー性鼻炎は、アレルゲン(花粉やハウスダストなど)に対するI型アレルギー反応により、くしゃみ、鼻水、鼻づまりを引き起こします。鼻粘膜が過敏になっており、ちょっとした刺激でも症状が出る「過敏性亢進」状態にあることが多いです。
一方、副鼻腔炎は細菌感染が中心の「非好酸球性」と、アレルギーに似た炎症反応による「好酸球性」に分けられます。特に「好酸球性副鼻腔炎」は近年注目されており、気管支喘息と合併しやすく、治療が難しいケースもあります。
見逃してはいけない臨床のサイン
日本耳鼻咽喉科学会の報告によると、鼻水が2週間以上続いた患者のうち、約7割が副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎だったというデータもあります。
特に注意すべき症状
- 副鼻腔炎:顔の奥の痛み、頭重感、膿性の鼻水
- アレルギー性鼻炎:目のかゆみ、連発するくしゃみ、特定の季節や環境で悪化
これらは風邪では説明しきれないため、耳鼻科の受診が推奨されます。
科学的に見た検査と治療の選択
確定診断のためには以下のような検査が行われます。
- 鼻粘膜や鼻汁の好酸球検査
- 血液中のIgE抗体検査
- 鼻副鼻腔の画像診断(X線、CTなど)
治療法も異なります。
- アレルギー性鼻炎:抗ヒスタミン薬、ステロイド点鼻薬、免疫療法
- 副鼻腔炎(細菌性):抗菌薬(特にマクロライド系が有効)
- 好酸球性副鼻腔炎:ステロイド治療、生物学的製剤(抗IL-5抗体など)
「たかが鼻水」ではなく、しつこい鼻水は早めに受診で快適に

「鼻水が止まらない=風邪」と思い込まず、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の可能性も視野に入れることで、適切な治療に早くつながります。特に副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎は長引いたり慢性化するので早めに治療が行えれば、より快適な日常生活につながります。
「風邪かな?」と思っていた鼻水が、実はもっと深い病気のサインかもしれません。自己判断に頼らず、耳鼻科専門医の診断を早めに受けることが大切です。