リンパ管腫は、リンパ管やリンパ節に発生する奇形の一種で、小児期に発生することが多い疾患です。”腫”と書いてあるため、腫瘍のように思われるかもしれませんが、リンパ液を入れた袋状のものが大きく腫脹してできるものです。
リンパ管腫の原因は明らかではありませんが、リンパ管の異常な増殖によって発生すると考えられています。遺伝的な要因も関与している可能性があります。
症状について
成人でも発生することがありますが、小児期に多く、頭頸部にできることが7割以上を占めます。腫脹が進んでしまうと、周りの組織を圧排してしまい、呼吸や食事に影響を与えたり、出血や感染を引き起こす原因にもなることがあります。
そのため、サイズや生じる部位が重要となり、それによって起こる症状の内容や重症度が変わってきます。また、治療方法にも大きく影響します。
治療方法
リンパ管腫の治療方法は、腫瘍の大きさ、場所、症状などによって異なります。
小さいものでは、自然に小さくなってしまうこともあり、他の症状がない場合には経過をみていくことが多いです。
一方、サイズが大きく、呼吸や食事、感染などの症状がある場合には、治療が必要となります。
方法としては、硬化療法や、リンパ管腫の摘出術が行われます。
硬化療法では、ピシバニール(OK-432)と呼ばれる薬剤をリンパ管腫の内部に注入し、炎症を起こすことで、サイズの縮小や消退を図ります。
リンパ管腫の摘出術は、サイズや部位によって難易度が大きく変わります。完全に取り切ることが難しい場合も多く、頸部の操作を行う場合には他の組織を傷つけてしまう可能性もあります。
リンパ管腫は再発する場合もありますので、治療方針は慎重に決めていく必要があります。その反面、息の通り道を圧排してしまう場合には致命的な状態につながるため、早急にサイズの縮小や気道確保を図る必要があり、しっかりとした状況の把握と方針の決定が求められます。
生活での影響と注意点
リンパ管腫が皮膚や筋肉の下にある場合、通常の生活に影響はありません。しかし、腫瘍が大きくなると、圧迫症状や出血などを引き起こすことがあります。
また、手術後には経過観察が必要です。定期的な検査を受け、再発を早期に発見するようにしましょう。
- リンパ管腫は、リンパ液を入れた袋状のものが大きく腫脹したもので、子供の頭頸部にできることが多い
- サイズや部位によって重症度は異なり、呼吸や食事に影響を与えたり、感染や出血をおこす可能性がある
- サイズが小さい場合は経過観察を行うが、他の症状がある場合には硬化療法や外科的な治療が適応となり、気道を狭くする場合には気管挿管や気管切開が必要になる