いびきや無呼吸で眠れない、日中の眠気が取れない…そんな悩みを持つ方がCPAPを使って「人生が変わった」と話すことがあります。
今回はその理由や仕組みについて解説します。

POINT
  • CPAPで「人生かわった」人が多数
  • 自費購入や補助金、費用面も整理
  • 鼻づまりやマスク選びに注意が必要

CPAPは睡眠中の突然死を防ぐ手段としても注目されています。その仕組みと使い方、購入方法まで詳しく見ていきましょう。

CPAPとは

CPAPとは

CPAP(Continuous Positive Airway Pressure:持続陽圧呼吸療法)とは、睡眠中に空気を一定の圧力で気道に送り込むことで、気道の閉塞を防ぎ、無呼吸を改善する治療法です。
主に睡眠時無呼吸症候群(SAS)に対して使用され、患者は専用のマスクを鼻や口に装着して睡眠をとります。これにより、いびきや呼吸停止が軽減され、睡眠の質が大幅に向上します。

近年は、自動圧調整機能(auto-CPAP)や呼気軽減機能、加湿器機能なども進化し、使用感が改善されています。

主な症状(CPAPが必要となる背景)

CPAPは「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」の治療に用いられます。
この病気の代表的な症状は、

  • 毎晩のようないびき
  • 寝ている間に息が止まる(家族に指摘されることが多い)
  • 日中に強い眠気がある
  • 朝起きたときに頭痛やだるさがある

などです。
重度になると、夜間に何度も呼吸が止まることで、心筋梗塞や突然死のリスクが高まることが報告されています。

CPAPの効果と必要な人

CPAPの効果と必要な人

CPAPは、鼻にマスクを装着し、気道に空気を送り続けることで、睡眠中の無呼吸を防ぐ機器です。
無呼吸を改善することで、脳と心臓の負担が減り、日中の眠気も軽減され、「人生がかわった」と実感する人が多くいます。
必要な使用時間の目安として、

  • 主観的な眠気の改善には4時間以上
  • 客観的な眠気改善には6時間以上
  • 睡眠機能や生活の質の改善には7.5時間以上

が必要と報告されています(ESS、MSLT、FOSQによる指標)
CPAPが必要となる方は、

  • 睡眠時無呼吸症候群(特に中等症以上)と診断された方
  • 睡眠中の呼吸停止が10秒以上で5回以上/時間ある方
  • 睡眠時に著しく酸素濃度が低下している方

などが対象です。

検査/診断の方法

検査/診断の方法

CPAPが必要かどうかを判断するには「睡眠検査」が必要です。以下の2つが一般的です。

1.簡易検査(ご自宅で可能)

鼻や指にセンサーを付けて一晩寝るだけ。
検査時間:約1夜、結果:約1週間で分かります。
自費:約5,000〜10,000円前後(保険適用外の場合)

2.精密検査(PSG)

入院または専門施設での検査。脳波や筋電図なども測定します。
保険適用で3割負担なら約10,000〜20,000円程度。
診断確定にはこちらが推奨されます。
検査後、医師がCPAPが必要かを判断し、治療導入へと進みます。

治療の方法・費用と補助金制度

CPAP治療では、毎晩就寝時に専用のマスクを装着します。
装着には慣れが必要ですが、多くの方が2週間以内に適応し、効果を実感します。

治療費について

  • 保険診療でのレンタル:月3,000円前後(3割負担)
  • 自費購入の場合:本体で約100,000〜200,000円、マスク等別途
  • 長期的に使う場合は補助金制度や医療費控除の対象になることも

アドヒアランスの重要性

治療の効果を得るには「1日4時間以上、月70%以上の使用」が目安とされていますが、達成している方は全体の約30〜40%と低めです。特に最初の1ヶ月間にどれだけ使えるかが継続の鍵です

マスクの選び方と鼻づまり対策

マスクの選び方と鼻づまり対策

CPAP治療ではマスクが自分に合っているかが治療継続のカギになります。

マスクの種類

  • 鼻マスク(標準的):鼻全体を覆うタイプ
  • フルフェイスマスク:鼻と口を覆う、口呼吸の方に適応
  • 鼻ピローマスク:鼻孔に挿入する軽量タイプ、眼鏡併用可能

鼻づまり・鼻閉の対策

CPAP中に鼻づまりを感じる方は非常に多く、

  • 室内の加湿
  • 洗浄式加湿器の併用
  • 鼻うがいや点鼻薬

などが有効です。耳鼻科で鼻閉の原因(アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎)を治療することも大切です。

類似機器との違い

マウスピースや体位療法、外科手術などもありますが、重度の無呼吸症にはCPAPが第一選択とされています。
マウスピースでは改善が不十分なこともあり、CPAPが最も効果的かつ安全な治療法です。

予防・日頃のケア

また、CPAPを導入しても使い続けることが何より大切です。途中でやめると再び無呼吸が戻ってしまいます。

さいごに

CPAPは単なる機械ではなく、あなたの健康と未来を守るパートナーです。
「人生が変わった」と言える毎日を、私たち耳鼻科医とともに取り戻しましょう。使用中に違和感があれば遠慮なくご相談ください。科学的にも、4時間以上の継続使用が日常生活の質や合併症予防に有効であることが示されていますので、まずは続けてみましょう。

野田 昌生

この記事の監修

野田 昌生(のだ まさお)

  • 自治医科大学 耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 講師
  • 耳鼻科専門医 医学博士