朝の痰に血が混じっていたり、茶色・緑色の痰が出ると、「これって血痰?」「何かの病気では?」と不安に思う方は少なくありません。
特に、病院で「異常なし」と言われたのに症状が続く場合は、どう対処すればいいのか悩ましいものです。
本記事では、血痰の原因、色のついた痰の意味、朝だけ出る理由、そしてどのようなケースで医療機関を受診すべきか、最新の医学文献に基づいて詳しく解説します。
目次
血痰とは?喀血との違いと主な原因
血痰とは、痰に少量の血が混じっている状態です。
一方、喀血はより大量の出血があり、命に関わることもあります。以下のような疾患が血痰の原因になります。
| 原因 | 解説 |
| 上気道粘膜の損傷 | 咳や乾燥で鼻や喉の粘膜が傷つき、微量の出血が混ざる。特に朝に多い。 |
| 慢性気管支炎・咳喘息 | 慢性の咳により気道粘膜が荒れ、血が混じることがある。 |
| 副鼻腔炎(蓄膿症) | 鼻腔から喉に落ちる膿や分泌物に血が混じる場合がある。 |
| 肺放線菌症 | 繰り返す血痰の原因としてまれだが重要。気管支鏡で診断が難しいこともあり、外科切除が必要な場合も |
| 抗血栓薬の影響 | アスピリンなどの薬剤が原因となることもあり、COPD患者に多い |
茶色や緑色の痰は何を意味する?

痰の色は炎症や感染の兆候を示します。
茶色の痰
- 過去の出血(酸化して茶色に)
- タバコやホコリの影響(喫煙者や作業環境に由来)
緑色の痰
- 細菌感染(副鼻腔炎、気管支炎、肺炎など)
- 好中球由来の酵素(ミエロペルオキシダーゼ)による色変化
特に副鼻腔炎では膿性の緑色痰が朝に集中することが多く、これが血痰と合併することもあります。
朝だけ出るのはなぜ?

「朝だけ」血痰や色のついた痰が出る理由には次のような要因があります。
- 睡眠中に副鼻腔から喉へ分泌物が流れ込む(後鼻漏)
- 夜間の咳やいびきによる微小出血
- 胃酸逆流(GERD)による夜間の喉粘膜刺激
- 朝の喫煙習慣や口腔内乾燥
これらは一時的なものであり、「異常なし」と診断されることもありますが、繰り返す場合には疾患が隠れている可能性もあるため注意が必要です。
「異常なし」と言われても安心できる?
胸部X線や血液検査で「異常なし」と言われた場合でも、以下のような疾患は見逃されることがあります。
- 肺放線菌症:菌塊が被膜に覆われ、気管支鏡では診断困難な場合がある。
- 非結核性抗酸菌症(NTM):喀痰の培養で判明することが多く、繰り返す血痰の原因になる。
- 軽度の副鼻腔炎やアレルギー性炎症:画像に写らない程度の炎症でも症状は現れることがある。
特に繰り返す場合は、追加の検査や専門医の診察を受けることが望ましいです。
血痰や色のついた痰の対処法・受診の目安
セルフケア
- 加湿・水分補給で粘膜の保護を
- 鼻うがいやマスクで後鼻漏を予防
- 喫煙者は禁煙を検討
- 横向きで寝る(後鼻漏や胃酸逆流を防ぐ)
受診すべき症状
- 血痰が3日以上続く
- 鮮血や多量の血痰が出る
- 緑色・茶色の痰が1週間以上続く
- 呼吸苦・発熱・倦怠感を伴う
- 抗血栓薬を服用している方
まとめ

血痰や茶色・緑の痰は、必ずしも重篤な疾患を意味するわけではありませんが、その背景には気づかれにくい病気が潜んでいることもあります。
特に「朝だけ」「異常なし」といったキーワードで安心せず、繰り返すようであれば一度耳鼻咽喉科や呼吸器内科での精密検査を検討しましょう。
