「点鼻薬を使っても鼻がすぐに詰まる」「効いているのは最初だけ」
このような相談は、耳鼻咽喉科外来で非常によく聞かれます。特に花粉症の時期には、手軽に使える点鼻薬に頼りすぎてしまう方も少なくありません。
実は、点鼻薬にはいくつかの種類があり、それぞれ役割や使い方が大きく異なります。
とくに注意が必要なのが、即効性のある「血管収縮剤系点鼻薬」で、使い方を誤ると逆に鼻づまりが悪化することがあります。
本記事では、点鼻薬の種類と役割、血管収縮剤とステロイド点鼻薬の違い、正しい使い方と安全性なども含めて詳しく解説します。また、「パブロン点鼻薬」のような市販でよく使用されている点鼻薬についても触れ、日常生活での正しいケアに役立つ情報をお届けします。
- 点鼻薬には「血管収縮剤系」「ステロイド系」「抗ヒスタミン系」など種類がある
- 血管収縮剤(パブロン点鼻薬など)の使いすぎは薬剤性鼻炎の原因に
- ステロイド点鼻薬は「ステロイド」と名前が付いていても局所作用で安全性が高い
点鼻薬は即効性や便利な反面、誤った使い方をされやすい薬です。特に血管収縮剤を慢性的に使っていると、症状が悪化する「薬剤性鼻炎」に陥ることも。
まずは自分が使っている点鼻薬のタイプを知ることが、正しい鼻づまり対策の第一歩です。
主な症状

点鼻薬を頻繁に使用している方の中には、以下のような症状に悩まされることがあります。
- 鼻づまりが慢性的に続く
- 点鼻薬を使うと一時的に楽になるが、すぐに再発する
- 朝起きたときから鼻がつまっていて息苦しい
- 鼻の奥が乾燥し、ヒリヒリとした痛みがある
- 鼻の通りが悪く、睡眠中に口呼吸になってしまう
これらは「薬剤性鼻炎(薬物誘発性鼻閉)」と呼ばれる状態で、特に市販の血管収縮剤入り点鼻薬を長期間使用している場合に起こりやすくなります。
疾患の原因・なりやすい方
血管収縮剤(例:オキシメタゾリン、ナファゾリンなど)は、鼻粘膜の血管を一時的に収縮させ、鼻づまりを速やかに改善する効果があります。
しかし、これを連続して使いすぎると、血管が反跳的に拡張する「リバウンド現象」により粘膜が腫れてしまい、さらに鼻づまりが悪化していく「薬剤性鼻炎」の原因となります。
特に以下のような方は注意が必要です。
- 血管収縮剤系点鼻薬を5日以上使用している方(パブロン点鼻薬など)
- 花粉症や通年性アレルギー性鼻炎の方
- 一時的な効果を求めて点鼻薬を繰り返し使っている方
なお、点鼻薬の種類によってリスクや目的が異なるため、使用前に医師や薬剤師に相談することが重要です。
検査/診断の方法
診断は耳鼻咽喉科での診察が中心です。以下のような検査を行います。
- 鼻腔の視診(前鼻鏡):下鼻甲介の腫脹や粘膜の変化を観察
- 鼻腔ファイバースコープ検査:粘膜の状態を詳細に確認
- アレルギー検査(血液検査や皮膚テスト):花粉やハウスダストなどの感作状況を確認
診察時には、使用している点鼻薬の種類や使用頻度を正確に伝えることが大切です。実際には、患者の多くが使用を申告しない傾向にあり、注意深い問診が求められます。
治療方法・回復期間の目安
治療の第一歩は、血管収縮剤を含む点鼻薬の中止です。中止後には一時的に鼻づまりが強く感じられることもありますが、多くの患者で数日以内に改善が見られます。
- 改善までの期間:3日以内に約6割が、1週間以内に約8割が改善
- 治療薬:ステロイド点鼻薬(例:アラミスト、フルチカゾン、フルナーゼ)を代替として使用
- 補助療法:抗アレルギー薬や生活環境の調整
このように、継続的な通院と医師の指導が重要です。
類似症状の疾患

鼻づまりを引き起こす疾患には以下のものがあります。
- アレルギー性鼻炎
- 慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
- 鼻中隔湾曲症
これらと薬剤性鼻炎は症状が似ているため、自己判断ではなく専門医の診察が必要です。
予防・日頃のケア
- 血管収縮剤系点鼻薬(パブロン点鼻薬など)は5日以上連続で使わない
- 花粉症の時期は医師の指導のもとでステロイド点鼻薬を継続使用
- 室内を適度に加湿(40〜60%)し、鼻粘膜を保護
- 鼻うがいや生理食塩水スプレーで鼻内洗浄を習慣化
- 花粉の飛散期にはマスクや眼鏡でブロック
点鼻薬の種類と使い方
点鼻薬は大きく分けて以下のような種類があり、それぞれ作用機序や目的が異なります。
血管収縮剤系(α交感神経刺激薬)
- 作用:鼻の血管を収縮させて鼻づまりをすばやく解消
- 例:パブロン点鼻薬、ナシビン、プリビナ、Otrivin
- 注意点:連続使用は5日以内/使いすぎると「薬剤性鼻炎」になることも
ステロイド系点鼻薬
- 作用:鼻粘膜の炎症を抑え、アレルギー症状を改善
- 例:アラミスト(フルチカゾン)、フルナーゼ、ナゾネックス、リノコート
- 安全性:局所作用のみで全身への影響は非常に少なく、長期使用にも適している
正しい点鼻のポイントとしては、使用前に軽く鼻をかみ、ノズルは外側へ向けることや、使用後すぐに鼻をかまないことがあげられます。
抗ヒスタミン薬系点鼻薬
- 作用:くしゃみや鼻水などのアレルギー反応を抑える
- 例:リボスチン(レボカバスチン)
- 注意点:鼻づまりへの効果は限定的なことがある
その他
- 抗コリン薬系(例:イプラトロピウム点鼻薬)…鼻水の分泌を抑える
- 生理食塩水スプレー…粘膜保湿・洗浄用として毎日使える
さいごに

鼻づまりが続く場合、点鼻薬の種類や使い方を見直すことが大切です。
特に「血管収縮剤系」は即効性がある反面、使いすぎると症状が悪化することもあるので注意が必要です。
一方で、「ステロイド点鼻薬」は名前にステロイドとありますが、局所作用型であり、正しく使えば非常に安全です。
市販薬でよく使われる「パブロン点鼻薬」なども、短期的な使用にとどめる必要があります。正しい診断と治療のためには、耳鼻咽喉科専門医の診察を受け、安心・安全な鼻づまり対策を行いましょう。
