「鼻呼吸にしたらいびきが減った」「朝の口の乾燥が楽になった」「口閉じテープで何かが変わった気がする」――そんな声を聞くことがあります。
一方で、「テープを貼ると苦しい」「正しいやり方がわからない」と不安に感じる方も少なくありません。

鼻呼吸とは、鼻から空気を吸って吐く呼吸のことです。鼻には空気を加湿・加温・ろ過する働きがあり、鼻づまりがあると口呼吸になりやすく、睡眠の質やのどの乾燥、いびきに影響することがあります。

この記事では、鼻呼吸のメリット、口閉じテープの注意点、鼻呼吸ができない原因、耳鼻科を受診したほうがよいサインをわかりやすく解説します。

POINT
  •  鼻呼吸とは、鼻で空気を加温・加湿・ろ過しながら行う呼吸です
  •  鼻づまりがあると、口呼吸やいびきにつながりやすくなります
  •  口閉じテープは、鼻呼吸が十分できる人でないと苦しいことがあり、自己判断で無理に使わないことが大切です

鼻呼吸は、睡眠や生活の質にも深く関係しています。無理せず、自分の鼻の通りを確認しながら取り入れましょう。

鼻呼吸とは

鼻呼吸とは、鼻から息を吸って吐く呼吸です。鼻には、空気中の異物をある程度取り除き、空気を加温・加湿して下気道に送り込む役割があります。

鼻がつまるとこの働きが十分に使えず、口呼吸が増えやすくなります。すると、のどが乾燥しやすくなったり、睡眠中に口が開きやすくなったりします。鼻づまりが強いと、睡眠の質や日中の過ごしやすさにも影響することがあります。

鼻呼吸のメリット

鼻呼吸のメリット

鼻呼吸のメリットとして感じやすいのは、次のような点です。

  • 朝の口の乾燥が減る
  • のどの違和感が軽くなる
  • 睡眠中の口呼吸が減る
  • いびきが軽くなることがある
  • 日中の呼吸が少し楽に感じることがある

ただし、これらは鼻づまりの程度や睡眠時無呼吸の有無によって変わります。いびきや眠気の原因が単なる口呼吸ではなく、鼻の形態や睡眠時無呼吸などにある場合は、鼻呼吸を意識するだけでは十分でないこともあります。

また、「顔が変わった」と感じる人もいますが、まず注目したいのは見た目そのものより、口の乾燥、睡眠、いびきなどの変化です。顔や顎の特徴が呼吸のしやすさに関わることはありますが、見た目の変化を過度に期待しすぎないことが大切です。

鼻呼吸が苦しい原因

鼻呼吸が苦しいと感じる場合は、鼻の通りが悪くなっていないか確認が必要です。よくある原因は次の通りです。

特に、アレルギー性鼻炎や慢性的な鼻づまりがあると、口呼吸が習慣になりやすく、いびきや睡眠の質の低下につながることがあります。

テープのやり方と注意点

口閉じテープは、寝ている間に口が開きやすい人が、口呼吸を減らす目的で使うことがあります。
ただし、鼻呼吸がしっかりできることが前提です。

基本のやり方

  • まず日中に、口を閉じたままでも鼻で楽に呼吸できるか確認する
  • 強く固定しすぎないテープを使う
  • 最初は短時間で試す
  • 少しでも苦しいと感じたら中止する

注意点

  • 鼻づまりがあるときは使わない
  • 風邪やアレルギーが悪化している日は避ける
  • いびきが強い人や睡眠時無呼吸が疑われる人は自己判断で使わない
  • 肌トラブルが出る場合は中止する

テープは、鼻呼吸ができる人の補助として使うものです。苦しいのに無理に続けるのは避けましょう。

鼻呼吸で何が変わったと感じやすい?

鼻呼吸を意識するようになって「変わった」と感じやすいのは、次のような点です。

  • 朝の口の乾きが減った
  • いびきが軽くなった
  • のどの痛みや違和感が減った
  • 呼吸がしやすくなった
  • 寝起きが少し楽になった

こうした変化は、鼻の通りがよくなったり、睡眠中の口呼吸が減ったりすることで起こることがあります。
一方で、顔つきが大きく変わるというよりは、まず睡眠や乾燥、呼吸のしやすさといった部分に変化を感じる人が多いと考えたほうが自然です。

耳鼻科での検査と治療

鼻呼吸ができない場合は、耳鼻科での検査が有効です。主に次のような方法で原因を確認します。

検査の目安

検査わかることこんなときに行う
鼻腔通気度検査鼻の通り具合を数値でみる鼻づまりの強さを客観的に確認したいとき
鼻内視鏡検査鼻の中の形やポリープの有無を確認する鼻づまりの原因が構造的か確認したいとき
アレルギー検査鼻炎の背景にアレルギーがあるか調べるくり返す鼻づまりや季節性・通年性の症状があるとき

検査は比較的短時間で行えるものが多く、鼻づまりの原因がどこにあるのかを把握するのに役立ちます。

鼻呼吸を改善するには、まず原因となっている疾患への対応が大切です。テープで無理に口を閉じる前に、鼻そのものの通りを整えることが優先になる場合もあります。

また、いびきが強い、日中の眠気が強い、寝ても疲れが取れないといった症状がある場合は、単なる口呼吸だけでなく、閉塞性睡眠時無呼吸症が隠れている可能性もあります。

治療の目安

原因主な対応改善のイメージ
アレルギー性鼻炎抗アレルギー薬、点鼻薬数日〜数週間で変化を感じることがある
副鼻腔炎炎症に応じた治療症状に応じて経過をみる
鼻中隔弯曲症・ポリープなど状態により手術を検討薬だけで不十分な場合に考える
口呼吸の習慣原因治療+生活習慣の見直し鼻の通りが整ってから改善を目指す

日ごろの予防とケア方法

日ごろの予防とケア方法

鼻呼吸を保ちやすくするためには、日常のケアも大切です。

ケア方法ポイント
掃除・環境整備ハウスダストや花粉を減らす
鼻洗浄鼻腔を清潔に保つ
乾燥対策室内の乾燥を防ぐ
睡眠前の工夫軽くリラックスして眠る
日中の意識口を閉じ、鼻呼吸を意識する
テープ使用鼻呼吸が十分できる状態でのみ使う

日中の「鼻呼吸トレーニング」や、意識して口を閉じる習慣も役立ちます。
ただし、鼻づまりがあるまま無理に続けると、かえって苦しさが強くなることがあります。

さいごに

鼻呼吸は、単に口を閉じることではなく、鼻が十分に通っていて初めて成り立つ呼吸です。
口閉じテープで変化を感じる人もいますが、鼻づまりがある人には向かないことがあり、苦しいと感じるなら無理をしないことが大切です。

鼻呼吸のメリットとして、口の乾燥やいびきの軽減、睡眠の快適さなどを感じることはあります。
ただし、鼻が通らない、いびきが強い、睡眠の質が悪いといった症状がある場合は、まず耳鼻科で原因を確認することが安心につながります。正しい鼻呼吸を目指すには、鼻そのものの状態を整えることがいちばん大切です。

野田 昌生

この記事の監修

野田 昌生(のだ まさお)

  • 自治医科大学 耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 講師
  • 耳鼻科専門医 医学博士