風邪や花粉症のとき、両方の鼻が詰まって「息がしにくい」「眠れない」と感じることがあります。
この状態はとてもつらいですが、鼻づまりの多くは単に鼻水がたまっているだけではなく、鼻の粘膜が腫れて空気の通り道が狭くなることで起こります。

特に夜は、横になることで鼻づまりがつらく感じやすく、睡眠の質にも影響します。
この記事では、薬を使わずに一時的に鼻づまりを楽にする方法を中心に、やり方と注意点、受診の目安までわかりやすく解説します。

POINT
  • 鼻づまりの多くは、鼻粘膜の腫れによって空気の通り道が狭くなることで起こる
  • 軽い運動や短時間の呼吸法で、一時的に鼻の通りが楽になることがある
  • ただし、これらは応急処置であり、症状が続く場合は耳鼻咽喉科で相談が必要

つらい「両方の鼻づまり」はなぜ起きる?

つらい「両方の鼻づまり」はなぜ起きる?

鼻づまりの正体は、鼻の中の粘膜が腫れて、空気の通り道が狭くなることです。
風邪、アレルギー、炎症などで血管が広がると、粘膜がむくんで鼻が通りにくくなります。

鼻の通りは自律神経の影響も受けています。交感神経が働くと血管が収縮しやすくなり、一時的に鼻の通りがよくなることがあります。
そのため、体の反応を利用して一時的に鼻づまりを和らげる方法が知られています。

薬を使わずに一時的に楽にする方法

ここで紹介するのは、鼻づまりを一時的に楽にする応急処置です。
効果には個人差があり、エビデンスが限られますが、つらい夜に試しやすい方法をまとめると次の通りです。

方法ごとの特徴

方法期待できることやり方の目安注意点
軽い運動一時的に鼻の通りがよくなることがあるスクワット10〜20回、その場足踏み30秒〜1分発熱時、体調不良時、めまい・動悸があるときは中止
息を止める古い報告では一時的な変化が示されている無理に勧めない体への負担があり、積極的には推奨しにくい
ツボ刺激鼻まわりの違和感がやわらぐことがある印堂・迎香を5〜10秒ずつ、3〜5回ほど押す強く押しすぎない。補助的な方法として考える
脇の下の圧迫一部で知られる対処法タオルなどを脇にはさむ方法が紹介されることがあるエビデンスは少なく、効果には個人差が大きい

① 軽い運動

短時間の運動は、薬を使わない方法の中では比較的理にかなった対処法です。体を動かすと交感神経が働き、鼻粘膜の血管が収縮して、一時的に鼻の通りがよくなることがあります。最近の鼻呼吸リハビリの総説でも、運動や呼吸訓練を含む非薬物的介入が補助的に用いられています(Courtney et al. Bioengineering 2022)。

② 短時間の息止め

息止めによって鼻の通りが一時的に変化することを示した古い報告はあります。
ただし、体への負担や安全性を考えると、無理に推奨する方法ではありません。
特に、めまいが出やすい方、心臓や呼吸器の病気がある方には向きません。苦しい鼻づまりの場面で、あえて積極的に行う方法としては勧めにくいでしょう。

③ ツボ刺激

ツボ刺激は、鼻まわりの違和感をやわらげる目的で試されることがあります。
強いエビデンスを前提にするというより、補助的な方法として考えるのが自然です。

代表的な部位
  • 印堂(いんどう):眉間の中央
  • 迎香(げいこう):小鼻のすぐ外側のくぼみ
やり方
  • 指の腹で5〜10秒押す
  • 3〜5回ほど繰り返す
  • 強すぎず「気持ちよい〜少し痛い」程度にする

④ 脇の下の圧迫

脇の下にタオルやペットボトルをはさむ方法は一部で知られています。
ただし、報告では鼻腔の変化はみられるものの、改善法としての根拠は強くなく、効果には個人差があります(Wilde et al. 1996)。試すとしても、無理のない範囲にとどめるのがよいでしょう。

両方の鼻が完全につまったときのコツ

両方の鼻が完全につまると、「息ができない」と感じて不安が強くなりやすいです。
そのようなときは、いきなり局所を触るより、まず全身の反応を使うほうがやりやすいことがあります。

薬などが無い場合に試せるもので、おすすめの順番は次の通りです。

  1. 軽い足踏みやスクワットで体を少し動かす
  2. 少し通りが出てきたら、印堂や迎香を軽く押す
  3. 必要に応じて脇の下の圧迫を補助的に試す

無理に強く鼻をかんだり、長時間苦しいのを我慢したりしないことが大切です。

受診を考えたい症状

応急処置で一時的に楽になることはありますが、次のような症状がある場合は耳鼻咽喉科で相談したほうが安心です。

症状受診を考える理由
数日以上続く強い鼻づまり風邪以外にアレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の可能性がある
発熱を伴う感染症の評価が必要になることがある
黄色や緑の鼻水が続く副鼻腔炎を考えることがある
顔面痛・頭重感が強い鼻の奥の炎症を伴うことがある
眠れないほど苦しい応急処置だけでなく原因評価が必要
いびきや無呼吸が気になる睡眠呼吸障害の関与を考えることがある

夜間の鼻閉は、いびきのリスクとも関連しています(Young et al. Arch Intern Med 2001)。また、膿性鼻汁や顔面痛を伴う場合は副鼻腔炎も考える必要があります。こうした症状がある場合は、薬を使わない対処だけで済ませず、原因を確認することが大切です。

さいごに

両方の鼻づまりは、とてもつらく不安になりやすい症状です。
今回ご紹介した方法は、薬を使わずに一時的に鼻の通りを楽にする応急処置として試しやすいものです。

ただし、これらは風邪、花粉症、副鼻腔炎などの原因そのものを治す方法ではありません。数日以上続く鼻づまり、発熱、黄色や緑の鼻水、顔面痛、眠れないほどの苦しさがある場合は、耳鼻咽喉科で適切な診断と治療を受けることが大切です。

つらい鼻づまりも、正しく対処すれば少し楽になることがあります。
無理のない範囲で取り入れてみてください。

参考文献

  •  Guevara FL, et al. Diagnostics. 2025.
  • Courtney R, et al. Bioengineering. 2022.
  • Li K, et al. BMC Complement Med Ther. 2023.
  • Bu F, et al. Front Immunol. 2025.
  • Young T, et al. Arch Intern Med. 2001.
  • Wilde AD, et al. 1996.
野田 昌生

この記事の監修

野田 昌生(のだ まさお)

  • 自治医科大学 耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 講師
  • 耳鼻科専門医 医学博士