花粉症の治療というと、飲み薬や点鼻薬でその年の症状を抑えるイメージが強いかもしれません。
一方で、舌下免疫療法は、症状を抑えるだけでなく、アレルギー反応そのものを変えていくことを目指す治療として位置づけられています。最近のレビュー(複数の論文を整理してまとめたもの)でも、アレルゲン免疫療法はアレルギー性鼻炎で重要な選択肢とされ、特に舌下免疫療法は自宅で続けやすい方法として広く使われています。

ただし、「花粉症は本当に体質改善できるの?」「舌下免疫療法はどんな人に向いている?」「何年続けるの?」と疑問に思う方も多いはずです。
この記事では、舌下免疫療法とは何か、薬との違い、どれくらいの効果が期待できるのか、向いている人・向いていない人を、一般の方にわかりやすく整理します。

POINT
  • 舌下免疫療法は、花粉症の症状を抑えるだけでなく、体質改善を目指す治療として使われます。
  • 飲み薬や点鼻薬は使っている間に効く治療、舌下免疫療法は数年かけて効果を目指す治療です。
  • しっかり効果を期待するなら、一般に3年以上の継続が重要とされています。

舌下免疫療法とは

舌下免疫療法とは

舌下免疫療法は、アレルギーの原因となるアレルゲンを少量から体に取り入れ、少しずつ体を慣らしていく治療です。
飲み薬や点鼻薬のように「今ある症状を抑える」のではなく、アレルギー反応の起こり方そのものを変えることを目指します。アレルゲン免疫療法は、アレルギー性鼻炎に対する疾患修飾的治療、つまり病気の経過そのものに影響を与える可能性がある治療として位置づけられています。

舌下免疫療法は、注射で行う皮下免疫療法と比べて、自宅で継続しやすいことが特徴です。また、重い全身性副反応の頻度は比較的低く、実際には口の中のかゆみや違和感など局所症状が多いとされています。

花粉症治療の中でどう位置づけられる?

花粉症治療は、大きく分けると次の2つです。

  • 症状を抑える治療
    抗ヒスタミン薬、点鼻ステロイド薬、点眼薬など
  • 体質改善を目指す治療
    舌下免疫療法、皮下免疫療法

最近の総説では、アレルギー性鼻炎の基本治療は、今も鼻噴霧用ステロイド薬第二世代抗ヒスタミン薬などの薬物療法が中心です。一方で、アレルゲン免疫療法は、毎年つらい症状を繰り返す人にとって、長期的な改善を目指せる選択肢として重要とされています。

治療法の違いを表で整理

治療法主な目的効果の出方続け方向いている人
抗ヒスタミン薬くしゃみ、鼻水、かゆみを抑える比較的早い症状がある時期に使う今つらい症状を早く抑えたい人
点鼻ステロイド薬鼻の炎症を抑え、鼻づまりを含めて改善する数日かけて安定しやすい継続使用が大切鼻づまりが強い人
舌下免疫療法体質改善を目指す数か月〜年単位数年続ける毎年つらい、長期改善を目指したい人

このように、舌下免疫療法は即効性よりも長期的な改善を目指す治療です。
最近の患者調査でも、通常の薬だけでは十分にコントロールできていない人が少なくなく、免疫療法への関心はある一方で、費用や情報不足、処方できる医師へのアクセスが壁になることが示されています。

舌下免疫療法はどんな人が候補になる?

一般に、舌下免疫療法の候補になりやすいのは次のような人です。

最近のレビューでは、アレルギー性鼻炎は症状の型や重症度が人によって異なり、治療も個別化して考えるべきとされています。つまり、「花粉症だから全員が舌下免疫療法向き」というわけではなく、毎年の困り方や治療への希望が大事です。

舌下免疫療法は何年続ける?

舌下免疫療法は何年続ける?

ここは多くの方が気になる点ですが、現在の文献では、少なくとも3年程度の継続が重要とされています。
2024年のレビューでは、アレルゲン免疫療法は3年以上続けることで、治療終了後もしばらく効果が続く可能性があると整理されています。また、2023年レビューでは、3年未満だと中止後に症状が戻りやすいことが示されています。

2024年のアレルギー性鼻炎レビューでも、少なくとも3年の免疫療法が有益で、2年では長期効果が不十分な可能性があるとまとめられています。

どこまで改善が期待できる?

舌下免疫療法に期待できるのは、主に次の点です。

  • 花粉症症状の軽減
  • 薬の使用量の減少
  • 長期的な症状コントロールの改善

2025年のアンブレラレビューでは、舌下免疫療法と皮下免疫療法はいずれもアレルギー性鼻炎に有効と整理されています。さらに、2025年のリアルワールド研究では、小児を中心に、長期的な病勢コントロールの改善や、疾患修飾的な可能性が示されています。

ただし、「完全に治る」と言い切れる治療ではありません。
効果には個人差があり、症状がかなり軽くなる人もいれば、改善はするけれど薬が少し必要な人もいます。最近の患者視点の研究でも、期待と実際の治療経験には差があり、情報提供の質が大切だとされています。

向かないケース・注意点

舌下免疫療法はよい治療ですが、誰にでも向くわけではありません。
向かいにくいのは、たとえば次のようなケースです。

  • すぐに強い症状を何とかしたい
  • 毎日続けるのが難しい
  • 通院や自己管理が負担になる
  • 費用や時間の面で継続が難しい

また、開始初期には、口の中のかゆみ、違和感、軽い腫れなどの局所反応が比較的よくみられます。多くは軽く、続けられることが多いですが、不安が強い場合は事前に説明を受けておくことが大切です。

さいごに

ティッシュ箱

花粉症は、飲み薬や点鼻薬でその年の症状を抑える治療が基本ですが、舌下免疫療法は体質改善を目指せる治療として、今も重要な選択肢です。
特に、毎年症状が強く、長期的に少しでも楽にしたい人には検討する価値があります。

一方で、舌下免疫療法は何年も続ける治療で、すぐに効くわけではありません。
「舌下免疫療法はどんな人に向いているのか」「自分は何年くらい続けられそうか」を含めて、耳鼻咽喉科やアレルギーを診る医師と相談しながら決めるのがよいでしょう。

参考文献

  • Bousquet J, et al. EAACI 2024–2025 Guidelines: From Evidence-to-Decision Frameworks to Digitalised Shared Decision-Making Algorithms. 2025.
  • He Y, et al. Efficacy of different allergen-specific immunotherapies for the treatment of allergic rhinitis in children and adults: an umbrella review. Front Immunol. 2025.
  • Woehlk C, et al. Long-Term, Real-World Effectiveness of Allergen Immunotherapy. 2025.
  • Rosenfield L, et al. Allergic rhinitis. 2024.
  • Richards GA, et al. Allergic rhinitis: Review of the diagnosis and management. 2023.
  • Lin CF, et al. Recent Updates of Immunotherapy for Allergic Rhinitis. 2023.
  • Jacob J, et al. Patient perspectives of allergic rhinitis and allergen immunotherapy. 2025.
  • Castellana E, et al. Sublingual Immunotherapy: Insights into Clinical Benefits and Practical Considerations. 2025.
野田 昌生

この記事の監修

野田 昌生(のだ まさお)

  • 自治医科大学 耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 講師
  • 耳鼻科専門医 医学博士