「めまい」とは、フワフワとしたふらつきや、ぐるぐるとした回転感などを感じる症状で、人によって感じ方は異なります。

原因は様々で、耳の中のものや、脳の疾患、心臓に関連したもの、筋肉の異常などがあります。また、ストレスや疲れ、過剰なスクリーンタイムなど、生活習慣の影響も考えられます。
内耳には平衡感覚を司る器官があり、内耳の疾患(例えば前庭神経炎や迷路炎)が原因でめまいが起こることがあります。脳にもめまいを引き起こす疾患(例えば脳腫瘍、てんかん、頭部外傷など)があります。

こどものめまいでは大人のめまいと比べて、その原因の頻度が異なっています。世界各国の報告から、頻度の多いものとして、

1)BPV(良性発作性めまい)
2)前庭片頭痛
3)頭部外傷
が半分を占めています。
また、
4)起立性調節障害
5)心因性めまい
も原因として報告されています。

1)BPV(良性発作性めまい)は、片頭痛との関係も多く報告されていて、片頭痛の前兆ではないかと考えられています。成長とともに改善していくことが多いですが、発作予防に内服薬を使用することもあります。

2)前庭片頭痛は、めまいがひどくなる時に頭痛もひどくなることが特徴的な疾患です。その他、

  • 運動をしたら頭痛がひどくなる
  • 症状がひどくなる前に、音や光に過敏になる

といった症状が、診断に有用なことがあります。程度によって、ひどくなる発作時と発作を抑える予防時、それぞれに内服加療が適応されます。

3)頭部外傷では、頭を打ったことによって、脳や内耳が震盪(ぐらぐらとゆれること)し、めまいの症状を起こします。こどもの場合、頭をうったエピソードや、うった痕があれば診断はつきやすいですが、自分では訴えないこともあるため注意が必要です。

4)起立性調節障害では、学童期に多く、立った時に血圧が下がることで頭蓋内の血流障害を引き起こすものです。’立ちあがったときにフラッとする’、’目の前が黒くなる’といった訴えが多く、体の急成長に循環器や自立神経の成長が追いつかないことが原因と考えられています。

5)では学校や家庭でのストレスなど、心的な要因により、めまいが引き起こされることがあります。日々の生活の中で、いつ・どこで・どんなときに症状が起きるかについて聴取することが重要ですが、他の原因をしっかりと除外する必要もあります。

子供のめまいが継続的に起こる場合、医師に相談することが重要です。
医師は子供の症状を評価し、必要に応じて適切な検査を行い、治療を提案することができます。

生活でどのような点に注意するの?

子供のめまいに注意するポイントとしては、まずは症状に敏感になることが大切です。自分で症状を訴えない場合もあるため「何かおかしいな?」という気づきが重要になります。
子供が「目が回る」「ふわっとする」「バランスが悪い」といった症状を訴えた場合は、その原因を探る必要があります。また、運動不足や姿勢の悪さも原因となることがあるため、適度な運動や正しい姿勢を保てるかにも注意しましょう。

その他にも、睡眠や栄養バランス、ストレスの管理など、健康的な生活習慣を心がけることが重要です。定期的な健康診断や、視力検査、聴力検査などもお勧めします。症状が続く場合は、早めに医療機関を受診することが必要です。

POINT
  • 「めまい」とはフワフワ、ぐるぐるとした症状で、人によって感じ方はさまざま
  • こどもでは大人と原因が異なり、頻度が多いものとしては、良性発作性めまい、前庭片頭痛、頭部外傷、起立性調節障害、心因性めまいなどがある
  • 自分で症状を訴えないことも多いため、生活の中で様子を観察することも重要
野田 昌生

この記事の監修

野田 昌生

  • 自治医科大学 耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 講師
  • 耳鼻科専門医 医学博士