被膜内扁桃切除術は、扁桃腺を被膜の内側から切除して取り除く手術です。また、アデノイド切除術は、鼻の突き当たりにあるアデノイドという免疫の組織を切除する手術です。
主に、いびきや睡眠時無呼吸症に対して、息の通り道を拡げるために行います。

手術について

基本的に全身麻酔で行い、手術時間は1時間程度です。程度やそれまでの感染の既往などにより、前後します。手術は以下のような流れで行われます。

  1. 懸垂頭位(寝た状態で頭を少し低くした体位です)で、口を開けるために、開口器という器具をかけて行います。
  2. 切除の対象となる口蓋扁桃を、専用の機械で吸引切除します。
  3. 被膜に包まれた中身の組織のみを処理し、扁桃組織は90%以上切除します。
  4. アデノイドという鼻の突き当たりの組織も併せて、同様の機械で吸引切除します。
  5. 最後に切除した創面を圧迫、結紮、電気凝固で止血して終了とします。

合併症

この手術に関する主な合併症として、以下のものがあげられます。

後出血

手術後の出血のことですが、この手術に関しては最も注意する点の一つです。大きく早期出血(術後24時間以内)と、晩期出血(術後7日目前後)に分けられてれており、必要時には再度全身麻酔をかけて止血術を行います。
従来の扁桃摘出術(被膜ごと摘出する方法)では3-5%の後出血率と言われていますが、被膜内切除では0.5%程度と言われます。

扁桃組織の再増殖

手術後も、扁桃組織やアデノイドが再度増殖することがあります。大きくなることにより、閉塞症状が出る場合は再手術の可能性があります。従来法と比べてリスクが高いという報告はありません。

  • 舌や口蓋垂のしびれや腫れ、口内炎、口角炎
  • 喉の痛み、味覚障害

これらは、口を開けたり、口の中を操作したりすることによります。

代替治療について

睡眠時無呼吸に関しては、CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)による加療も選択肢となります。
手術を承諾されるかどうかは、患者さんの意思が尊重されます。承諾されない場合でも、診療上の不利益をうけることはありません。

この手術・治療法に関してご不明な点がありましたら、専門医を受診することをお勧めします。

野田 昌生

この記事の監修

野田 昌生

  • 自治医科大学 耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 講師
  • 耳鼻科専門医 医学博士