耳瘻管摘出術は、先天性耳瘻孔に対して繰り返す感染の予防や治療のために行う手術です。感染の原因となる耳瘻管を摘出することで根本的な感染源の治療をします。

手術方法

成人では局所麻酔で行うこともできますが、小児では全身麻酔で行うことが多いです。手術時間は約1時間ですが、部位や感染の程度などから前後します。
手術の流れとしては、以下の方法が一般的に行われています。

  1. 瘻孔周囲の皮膚を紡錘形に切開します
  2. 瘻管を周囲の組織から剥離して摘出します
  3. 耳介軟骨に癒着していたり、軟骨を貫通している場合は耳介軟骨の一部も合併切除します
  4. 瘻管の走行によっては、耳の前や後ろの部位を追加で切開することが必要になります

合併症

手術の主な合併症としては、出血や創部の感染の他に、以下のものが挙げられます。

  • 神経の損傷(周囲の神経を傷つけてしまう可能性があります。)
  • 瘻孔遺残による感染の再発→追加で手術が必要になる場合もあります

代替治療について

感染に対して、抗生剤や局所の切開排膿を行うことがありますが、根本を治療しているわけではありません。感染を繰り返すほど、周囲組織との癒着や皮膚が傷ついてしまう可能性があります。

手術を承諾されるかどうかは、患者さんやそのご家族の意思が尊重されます。承諾されない場合でも、診療上の不利益をうけることはありません。手術や治療法に関して、まずは専門医にご相談ください。

野田 昌生

この記事の監修

野田 昌生

  • 自治医科大学 耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 講師
  • 耳鼻科専門医 医学博士