口蓋扁桃摘出術は、扁桃腺の一つで、口を開けた時にみえる口蓋扁桃(こうがいへんとう)を摘出する手術です。手術の主な適応とその目的としては、以下のものがあります。
- 習慣性扁桃炎(繰り返す扁桃炎)の改善
- IgA腎症など扁桃を原因とした疾患に対する治療(病巣(びょうそう)扁桃といいます)
- 睡眠時無呼吸症
手術の方法
全身麻酔で行い、手術時間は約1時間程度です。炎症の程度や口の開き具合、その他の状態などによって前後します。手術は以下のような流れで行われます。
- 懸垂頭位(寝た状態で頭を少し低くした体位です)で、口を開けるために、開口器という器具をかけて行います。
- 口蓋扁桃を、被膜を剥離して摘出します。
- 摘出後の創面を圧迫、結紮、電気凝固で止血します。
扁桃組織の被膜外には複数の血管があり、確実な止血が重要となります。
合併症
この手術に関する主な合併症として、以下のものがあげられます。
後出血
手術後の出血のことですが、この手術に関しては最も注意する点の一つです。大きく早期出血(術後24時間以内)と、晩期出血(術後7日目前後)に分けられてれており、必要時には再度全身麻酔をかけて止血術を行います。従来の扁桃摘出術(被膜ごと摘出する方法)では3-5%の後出血率と言われていますが、被膜内切除では0.5%程度と言われます。
扁桃組織の再増殖
手術後も、扁桃組織やアデノイドが再度増殖することがあります。大きくなることにより、閉塞症状が出る場合は再手術の可能性があります。従来法と比べてリスクが高いという報告はありません。
- 舌や口蓋垂のしびれや腫れ、口内炎、口角炎
- 喉の痛み、味覚障害
これらは、口を開けたり、口の中を操作したりすることによります。
代替治療について
炎症に対しては、抗菌薬や抗炎症薬による加療があります。病巣扁桃に関しては、ステロイド薬、免疫抑制薬など内科的加療があります。
睡眠時無呼吸に関しては、CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法)による加療も選択肢となります。
現状としてどの程度の状態なのかを踏まえて、手術を受けるメリット・デメリットから決定する必要があります。手術を承諾されるかどうかは、患者さんの意思が尊重されます。承諾されない場合でも、診療上の不利益をうけることはありません。
この手術・治療法に関してご不明な点がありましたら、専門医を受診することをお勧めします。