耳垢とは、外耳道を保護するために、耳の中で作られる蜜蝋状の分泌物です。外耳道を綺麗に洗浄し、潤滑にするとともに、感染に対しての抗菌作用があります。
一般的に、耳垢は自然に外耳道から外へと排出されることが多いですが、時には詰まってしまうこともあります。 これは、外耳道の形状が細かく複雑で、耳垢が溜まりやすいためです。

耳垢はこどもでは溜まりやすい傾向にありますが、溜まりやすいことは病気ではなく、耳垢の質や外耳道(耳の道)の形などが影響しています。また、耳垢の質(乾燥や湿っぽい)は遺伝する部分もあり、地域性や人種による差が認められます。
耳垢は痒みや耳閉感(耳がつまる感じ)がある場合には、可能な範囲で取れば良いのですが、綿棒などの棒状のもので頑張ってとろうとすると

  • 耳の道が傷つく
  • 鼓膜を傷つけてしまう

といった可能性も十分にあります。

細菌や塵などの異物が外耳道に入るのを防ぐ働きを持っていますので、子供の耳垢については、基本的には取りすぎる必要はありません。耳かきで耳垢を押し込んでしまい、症状を悪化させる可能性があるためです。

目に見える範囲で綿棒や耳かきをそっと使用し、取りにくいものは無理をせず耳鼻科を受診することをおすすめします。

POINT
  • 耳垢は蜜蝋状の分泌物で、異物が外耳道に入るのを防ぐ機能がある
  • 耳垢の質や耳の道の形によって溜まりやすさに影響する
  • 耳の皮膚は弱く、傷つける可能性があるため、取りすぎる必要はない
  • 取りにくいものは無理をせず、耳鼻科を受診することを推奨する
野田 昌生

この記事の監修

野田 昌生

  • 自治医科大学 耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 講師
  • 耳鼻科専門医 医学博士