はじめに

口の中にできる「口腔がん」は、初期症状が口内炎と似ているため、気づきにくい病気です。また、口腔内のどの部位でも発生することがあり、舌、口蓋、口唇、歯肉、頬、舌根などが原因となります。しかし、早期に発見できれば治療の成功率が高まります。口内炎のような症状が続く場合には、口腔がんの可能性も考えて、早期発見につなげましょう。

POINT
  • 口腔がんの早期発見には早期の受診が重要!
  • 口内炎が2週間以上治らない場合は注意
  • 口腔がんの死亡率は進行度によって大きく変わる

口腔がんは進行すると治療が難しくなりますが、早期発見により予後が大きく改善されます。定期的な検診や早期の受診を受けることが大切です。

口腔がんの主な症状

口腔がんの主な症状

口腔がんの初期症状は、口内炎と似ているケースもあり、主に以下のような症状が見られることがあります。

  • 口の中や舌にしこりや腫れができる
  • 痛みが長引く、またはしみるような感覚が続く
  • 口の中に白や赤い斑点が現れる
  • 口臭が強くなる
  • 食べ物を飲み込むのが困難になる

これらの症状が見られた場合は、早めに専門医を受診しましょう。特に、口内炎のような症状が2週間以上治らない場合は注意が必要です。

疾患の原因・病気になり易い方

口腔がんの主な原因には、喫煙や過度な飲酒、紫外線、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染他、口内炎の慢性化が挙げられます。以下のような方は口腔がんになりやすいとされています。

  • 長年にわたり喫煙や飲酒をしている
  • 口の中を不衛生にしている
  • 歯の詰め物や義歯が合わず、口の粘膜を刺激している
  • HPV(ヒトパピローマウイルス)に感染している

特に50歳以上の男性は発症リスクが高いため、定期的な検診が推奨されます。

検査/診断の方法

検査/診断の方法

口腔がんの診断には、視診や触診が行われます。また、以下の検査方法が有効です。

  • 口腔がん検診:視診・触診により、異常がないかを確認
  • 細胞診・組織検査:口内の細胞を採取(生検)し、がん細胞の有無を調べる
  • 画像検査(X線・CT・MRI・超音波):がんの広がりや進行度を詳しく確認

口腔がん検診は各地域の、主に歯科・口腔外科で行われています。特に、他のがん同様早期発見が重要なため、定期的(半年~1年おき)に行うことをおすすめします。また、口内炎の様な症状が続く場合には、口腔外科や耳鼻咽喉科への早期受診が重要です。

治療の方法・回復期間の目安

口腔がんの治療法には、以下のような方法があります。

手術

がん組織を切除する方法で早期であれば比較的簡単な手術で済むことが期待できます。がんの進行状況や患者さんの状態によって異なる手術方法が選択されますが、口腔内の一部が切除する場合は、口腔内の形状が変わったり、言葉が発しにくくなったりすることがあります。また、口腔内の傷が治癒するまで、食事に制限がかかることがあります。

放射線治療

高エネルギーの放射線を照射してがん細胞を破壊するもので、口腔がんの治療において頻繁に用いられる治療法の一つです。しかし、放射線療法によって、治療箇所周辺の健康な組織にもダメージが及ぶため、治療中には口内炎や食欲不振、味覚障害などの副作用が生じることがあります。これらの症状によって、食事が取りにくくなる場合があります。

化学療法

抗がん剤を用いてがん細胞の増殖を抑えるもので、放射線療法と併用することが多く、抗がん剤を使ってがん細胞を攻撃する治療法です。化学療法によっても、吐き気、嘔吐、口内炎、下痢、便秘などの副作用が生じることがあります。

治療後の回復期間は、がんの進行度や治療による副作用によりますが、早期であれば数週間で日常生活に復帰できます。ただし、進行した形で見つかった場合は、数ヶ月にわたる治療が必要になることもあります。治療には、手術、放射線療法、化学療法、免疫療法などがあります。治療の方法は、がんの進行具合や患者の状態に応じて選択されます。手術によりがんを完全に摘出できる場合は、手術だけで治療が可能ですが、がんが進行している場合は、放射線療法や化学療法が併用されることがあります。

やはり、がんが進行している場合は、治療が難しくなることがあるため早期の診断と治療が重要であること、また、治療後も定期的な検診を受け、再発を防ぐことが必要です。

統計データ

口腔がんは進行具合(ステージ)によって、その後の生存率は大きく異なります。5年間生存率において、ステージ1では90%超、ステージ2だと約80%、その後、ステージ3の約60%、ステージ4では約50%程度とされており、他のがん同様早期発見が重要となっており、特にステージ1,2での発見は大きな治癒効果が期待できます。

類似症状の疾患

口腔がんと似た症状を示す疾患には、以下のようなものがあります。

  • 慢性的な口内炎
  • 白板症(口の粘膜が白く変色する病気)
  • 舌がんや咽頭がん
予防・日頃のケア

予防・日頃のケア

口腔がんを予防するためには、日頃のケアが重要です。

  • 定期的な口腔がん検診を受ける
  • 口内炎が長引く場合は放置せず、専門医を受診する
  • 禁煙・節酒を心がける
  • 口腔内を清潔に保つ(歯磨き・うがいの習慣)
  • バランスの取れた食生活を意識する

さいごに

口腔がんは、早期に発見すれば治療の成功率が高くなります。しかし、進行してしまうと死亡率も上がるため、定期的な検診が重要です。口内炎が長引く場合や、違和感を感じた場合は、放置せずに専門医に相談してください。安心して生活できるよう、日頃から口腔の健康に気を配りましょう。

野田 昌生

この記事の監修

野田 昌生(のだ まさお)

  • 自治医科大学 耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 講師
  • 耳鼻科専門医 医学博士