「頭頸部がん」と聞くと、どこにできるの?何科に行けばいいの?と疑問に思う方も多いはず。初期症状は風邪と似ていることもあり、早期発見が大切です。

POINT
  • 初期症状は風邪と似ていて気づきにくい
  • 何科を受診するかが早期発見のカギ
  • 原因は喫煙・飲酒・ウイルス感染など多岐

気になる症状を放置せず、まずは何科を受診すべきか知っておくことで早期発見・治療が可能です。

頭頸部がんの主な症状

頭頸部がんの主な症状

頭頸部がんの症状は、がんができた部位によって異なりますが、以下のような症状が見られます。

  • のどの違和感や痛みが長引く(2週間以上)
  • 声がかすれる
  • 飲み込みにくさ、食事中のむせ
  • 首にしこりがある
  • 鼻づまり、鼻血、耳の聞こえづらさ

これらの症状が続く場合は、風邪ではなく別の疾患の可能性を考える必要があります。

頭頸部がんの原因・病気になり易い方

頭頸部がんの原因には、以下のようなものが知られています。

また、50歳以上の男性に多く見られ、生活習慣が大きく影響しています。

小児の頭頸部がんについて

小児の頭頸部がんについて

小児の頭頸部がんは、大人のものといくつかの重要な点で異なります。以下のような特徴があります。

  1. 原因が異なる場合がある:大人では喫煙や飲酒が主要な原因ですが、小児では遺伝的な要因が関与していることがあります。
  2. 症状が異なる場合がある:小児では慢性的な鼻出血、口腔内の白い斑点、嚥下障害、頸部リンパ節の腫れが初期症状として現れることが多いです。
  3. 転移しやすい場合がある:がん細胞がリンパ節や血管に早期に転移しやすく、早期発見がより重要です。
  4. 治療法が異なる場合がある:手術、化学療法、放射線治療、免疫療法などがあり、年齢やがんの種類に応じた治療方針が必要です。

機能温存治療とその進歩

進行例でも、音声や嚥下などの機能を保ちながら治療できる機能温存治療が進んでいます。
特に、声門がんの放射線治療後に再発したT1/T2症例では、喉頭全摘ではなく喉頭部分切除を原則とする方針が採られ、実際に喉頭温存が可能な例が多数報告されています(温存率約93%)。

放射線治療後でも手術適応を見極めることで、甲状軟骨壊死や誤嚥などのリスクを低く抑え、機能を保ちつつ治癒を目指せます。再発早期の発見が、機能温存の鍵になります。

検査/診断の方法

頭頸部がんの診断には、以下のような検査が行われます。

  • 視診・触診:耳鼻科医が口腔・咽頭・首を観察・触診
  • 咽喉ファイバー検査:細いカメラで鼻や喉を直接観察。痛みはほぼなく、数分で終了
  • 画像診断(CT、MRI、PET):がんの広がりや転移を確認
  • 組織検査(生検):異常組織を採取してがん細胞の有無を確認

通常、1〜2週間以内に診断結果が判明します。

治療の方法・回復期間の目安

頭頸部がんの治療法は、がんの部位や進行度により異なります。

  • 手術:がんを切除する方法。部位によっては再建手術が必要になることも
  • 放射線治療:局所的にがんを消滅させる治療
  • 化学療法(抗がん剤):全身的にがん細胞を攻撃する治療

特に、術後再発リスクの高い頭頸部がん患者さんに対しては、放射線治療と抗がん剤シスプラチンの併用療法が行われます。従来の3週ごとの投与に代わり、毎週投与する方法が副作用軽減と治療継続性の観点から有効とされ、国立がん研究センターの研究によって新たな標準治療として推奨されています。
治療期間は、放射線治療が6〜7週間程度、化学療法の期間もこれに合わせて行われます。副作用の軽減により、外来での治療も可能となり、生活の質の向上が期待されます。

類似症状の疾患

類似症状の疾患

喉の違和感や声のかすれは、咽頭炎や声帯ポリープ、アレルギー性鼻炎などでも見られます。長引く場合は必ず受診を。

さいごに

頭頸部がんは早期発見がカギとなる病気です。何科に行くべきか迷ったら、まずは耳鼻咽喉科を受診してください。
専門医があなたの不安をしっかりと受け止め、適切な診断と治療を提供します。
症状が気になったら、遠慮せずにご相談ください。