「鼻うがいって本当に効果があるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
市販の製品や水道水を使った鼻うがいが、どのような効果をもたらすのか、そして副鼻腔炎や蓄膿症にどう影響するのかを、最新のエビデンスをもとに解説します。

POINT
  • 吐き気やめまいは耳の不調や水分過多が原因のことも
  • 症状が長引くなら漢方や生活改善で体質からケア
  • 夏バテの治し方は内耳と腸の冷え対策がカギ

正しく行えばすごい効果を発揮する鼻うがい。
手軽にできるセルフケアとして注目されています。
この記事では、科学的根拠に基づきながら、鼻うがいのメリットと注意点について解説していきます。

鼻うがいが効果的とされる代表的な症状

鼻うがいが効果的とされる代表的な症状

鼻うがいが効果的とされる代表的な症状には、以下のようなものがあります。

  • 鼻づまりが続いて呼吸がしにくい
  • 粘り気のある鼻水が出る(黄色や緑色)
  • 後鼻漏により咳や喉の違和感が続く
  • 匂いがしづらい・味が分かりにくい
  • 顔や頭の奥が重い、頭痛がある

これらは副鼻腔炎や慢性鼻炎、アレルギー性鼻炎、風邪による鼻症状であることが多く、鼻うがいによって症状緩和が期待できます。

鼻うがいが必要な人・背景

副鼻腔炎や蓄膿症では、副鼻腔内に粘液がたまり、感染や炎症を繰り返します。
鼻腔粘膜の線毛運動が低下することで、炎症性メディエーターや病原菌が排出されにくくなり、慢性化につながります。
鼻うがいは、こうした異物を物理的に洗い流すことで、症状の改善・再発予防に役立ちます。
特に、以下の方に推奨されます。

  • 慢性副鼻腔炎や蓄膿症の方
  • アレルギー性鼻炎をお持ちの方
  • 鼻づまりで睡眠に支障がある方
  • 花粉症やハウスダストに敏感な方
  • 上咽頭炎、後鼻漏が気になる方

COVID-19後遺症(Long COVID)でも、慢性上咽頭炎の合併が報告されており、鼻うがいの意義が高まっています。

鼻うがいの方法と市販製品の活用法

鼻うがいの方法と市販製品の活用法

鼻うがいは、専用の洗浄器やミストスプレー、市販のパウダー入りの生理食塩水セットを使うことで、安全かつ効果的に行えます。

鼻うがいの基本手順

  1. 洗浄液を用意(市販の粉+ぬるま湯 or 自作の0.9%食塩水)
  2. 鼻から液を流し入れ、反対側の鼻または口から排出
  3. 両側交互に行う(1日1~2回)
  4. 使用後は洗浄器を清潔に保つ

※水道水はそのまま使用せず、必ず煮沸または精製水を使用してください。

おすすめ市販品

特にミストスプレー型は、刺激が少なく小児でも使いやすいとされ、安全性も高いと報告されています。

鼻うがいの効果とその理由

鼻うがいによって得られる主な効果は次のとおりです。

  • 鼻づまりの緩和、通気性の改善
  • 粘液や細菌、ウイルス、アレルゲンの除去
  • 線毛運動の正常化、粘膜の機能回復
  • 後鼻漏の軽減、喉への刺激予防
  • 鼻腔内の炎症軽減と再発予防

研究では、鼻うがいを2週間継続した群では、鼻腔開存面積の有意な増加、細菌の陰性化、症状スコアの改善が報告されています。
また、EAT(上咽頭擦過療法)と併用することで、慢性上咽頭炎の自覚症状(後鼻漏、咳、頭痛など)の改善率が高まるとされています【18†32_33.pdf†L1-L20】。

鼻うがいの注意点

鼻うがいの注意点

1. 必ず清潔な食塩水を使うこと

  • 水道水をそのまま使うのはNGです。必ず煮沸した水や精製水適正濃度(0.9%)の食塩を加えた食塩水を使用しましょう。
  • 冷たすぎず、体温に近い温度(約37℃)に調整してください。

2. 無理に強く流さない・鼻を強くかまない

  • 強く洗浄液を吸い込んだり、勢いよく鼻をかむと、中耳炎の原因になることがあります。
  • ゆっくり自然に洗い流し、やさしく鼻をかむようにしましょう。

3. 粘膜が荒れているとき・鼻づまりがひどいときは避ける

  • 鼻の中が炎症を起こしているときや、強い鼻づまり・鼻血・痛みがあるときは使用を控えましょう
  • 無理に行うと症状が悪化する場合があります。そういった場合はまず耳鼻科に相談してください。

4. 1日1〜2回までを目安に

  • やりすぎると、鼻の粘膜が乾燥して防御機能が低下してしまいます。
  • 毎日の習慣にするなら、朝と就寝前の1日2回までが基本です。

予防と日頃のケア

  • 花粉やPM2.5が多い日は帰宅後すぐ鼻うがい
  • 朝晩の習慣化で鼻腔の清潔を保つ
  • 就寝前に行えば後鼻漏による咳の予防に
  • 洗浄液の温度は体温近くに(約37℃)
  • 使用後の器具はよく洗い、乾燥させる

鼻洗浄を正しく習慣化することで、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、慢性上咽頭炎の予防・再発防止に役立ちます。

さいごに

鼻うがいは、薬に頼らず自宅でできる優れたセルフケアです。
市販製品を活用すれば、誰でも簡単に始めることができます。
耳鼻科的にも科学的に効果が裏付けられており、鼻づまり、副鼻腔炎、上咽頭炎などの改善に有効です。
不安な点があれば、耳鼻科で相談し、正しい方法で習慣化することをおすすめします。

野田 昌生

この記事の監修

野田 昌生(のだ まさお)

  • 自治医科大学 耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 講師
  • 耳鼻科専門医 医学博士