概要

慢性扁桃炎は、扁桃腺の炎症により引き起こされる疾患で、慢性的に症状が続くものを指します。主な症状には喉の痛み、嚥下痛、発熱、口臭、扁桃腺の腫れや膿栓などがあります。

原因や病態について

扁桃腺は免疫に関連した組織で、アレルギーや空気中の異物に対する過剰な反応、口腔内の細菌感染、または栄養不良による免疫力低下などによって、炎症を引き起こします。慢性的に炎症が起こることで、大人になっても炎症が続いてしまうことやある程度の大きさに肥大してしまう原因となります。
また病巣扁桃といって、腎炎や掌蹠膿疱症といった免疫の異常による全身への負担へとつながる場合もあります。

必要な検査について

慢性扁桃炎の診断には、症状や身体所見に基づく診察が主要な方法です。また、細菌感染を疑う場合には、扁桃腺の膿などから細菌培養の検査や血液検査を行うことがあります

鑑別疾患について

慢性扁桃炎の症状は、他の疾患と重複することがあります。
具体的には、急性扁桃炎、上咽頭炎、口内炎、扁桃腺癌などが挙げられます。どこに炎症があるかは診察でわかるので、症状が持続する場合には、診断を受けることが重要です。

治療方法について

慢性扁桃炎の治療法には、保存的な治療と手術的治療があります。
保存的な治療は、症状に合わせた鎮痛剤や抗炎症剤、塩水うがいなどや抗菌薬による薬物療法が含まれます。
これらの治療は、症状を緩和することができますが、根本的な問題を解決することはできません。
手術的治療には、扁桃摘出術があります。
扁桃摘出術は、一般的に病気の症状が頻繁に起こる場合や、治療が効果的でなかった場合に考慮されます。年に4回程度以上扁桃炎を繰り返す習慣性扁桃炎や、扁桃周囲膿瘍にかかった例では、今後も炎症を繰り返す可能性があるため、手術をお勧めします。
手術加療では、口蓋扁桃を摘出することで、病気の再発率を減らし、症状を改善することができます。

治療を考える際の注意点

保守的治療は、重度の症状のある場合には不十分であることがあります。
また、長期間使用すると副作用が出る可能性があります。手術的治療は、病気の再発率を減らすことができますが、手術後の合併症のリスクがあるため、手術を検討する場合には医師との相談が必要です。手術には、麻酔や手術後の食事の制限などのリスクや制限があります。

POINT
  • 慢性扁桃炎は、慢性的に扁桃腺の炎症が続くことで、喉の痛み嚥下痛、発熱、扁桃肥大をひきおこす
  • 病巣扁桃といって、免疫異常により扁桃腺だけでなく全身に影響が出る場合がある
  • 年に4回程度扁桃炎を繰り返したり、扁桃周囲膿瘍に至る例では口蓋扁桃摘出術の適応となる
野田 昌生

この記事の監修

野田 昌生

  • 自治医科大学 耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 講師
  • 耳鼻科専門医 医学博士