「Bスポット療法」とは、正式には上咽頭擦過療法(Epipharyngeal Abrasive Therapy:EAT)と呼ばれる治療法で、慢性上咽頭炎に対して耳鼻科で行われる処置です。
SNSでも「効果があった」「痛すぎる」「自分でやって大丈夫?」などの声があり、注目を集めています
この記事では、Bスポット療法の実際やリスク、好転反応などをわかりやすく解説します。
- bスポット療法は効果に個人差あり
- 「痛すぎる」「デメリット」も要チェック
- 綿棒での自分での実施は危険
近年注目されるbスポット療法は、長年忘れられていた治療が再評価されたものです。好転反応を含む身体的負担や、自分でやる危険性にも注意し、正しい理解のもと受けることが大切です。
Bスポット療法が対象とする主な症状

Bスポット療法が対象とする症状は、典型的な喉の痛みだけでなく、多岐にわたります。
- 喉がイガイガする、違和感がある
- 後鼻漏(鼻水が喉に流れる感じ)
- 頭痛、集中力低下、倦怠感
- 鼻づまりや慢性的な咳
- 耳閉感や耳鳴り
- 睡眠障害、不安感、動悸
これらは自律神経失調症やうつ症状に近い「機能性身体症状」とも呼ばれ、一般的な検査では原因不明とされることも少なくありません。
慢性上咽頭炎の原因・なりやすい方
Bスポット療法の主な対象となる疾患が「慢性上咽頭炎」です。
慢性上咽頭炎は、上咽頭(鼻の奥と喉の境目にある領域)の粘膜に慢性的な炎症が生じることで、様々な全身症状を引き起こす状態です。
その原因は、
- ウイルスや細菌感染の残存
- 鼻呼吸障害や口呼吸の習慣
- アレルギーや胃酸の逆流
- ワクチンのアジュバント反応(特に新型コロナやHPVワクチン)
などが挙げられます。
また、ストレスや睡眠不足なども免疫系の乱れを介して関与しているとされています。
特に次のような方が発症しやすいとされます。
- 長期間続く喉や鼻の不快感がある方
- 後鼻漏・咳が続いている方
- 病院で検査をしても異常がないと言われた方
検査/診断の方法
診断には耳鼻咽喉科での詳細な問診と内視鏡検査が行われます。以下の3条件すべてを満たすことで「慢性上咽頭炎」と診断されます。
- 1ヶ月以上症状が続き、薬などの治療に反応しない
- 鼻・副鼻腔や喉などに明らかな器質的疾患がない
- 内視鏡で上咽頭の発赤・腫脹、粘液の付着などの炎症所見があり、綿棒による擦過で出血を認める
内視鏡では、炎症の程度や場所(天蓋、後壁など)を直接観察しながら診断でき、治療方針の決定にもつながります。診察は5〜10分程度で終わり、侵襲も少なく安全です。
治療の方法・回復期間の目安

治療法は「塩化亜鉛を染み込ませた綿棒で上咽頭を擦過する」シンプルな処置ですが、その作用は多岐にわたります。
【主な作用】
- 粘膜の収斂・抗炎症作用
- 炎症性物質の排出促進(瀉血)
- 迷走神経刺激による自律神経の調整作用
1回の処置は数分で終わりますが、「痛すぎる」と感じる方も多く、NRSで7〜10レベルの強い痛みを訴える例も報告されています。
治療頻度は週1〜2回、合計5〜10回が一般的で、多くの方が1〜2ヶ月以内に効果を感じ始めるとされています。
また、処置後に「好転反応」として一時的に症状が強くなる場合もありますが、これは炎症反応が正常に動き始めた証とも言えます。
なお、自分で綿棒で行う行為は粘膜損傷や感染リスクを伴い危険です。専門の耳鼻咽喉科で適切な方法で行うようにしましょう。
類似症状の疾患
慢性副鼻腔炎、咽頭炎、アレルギー性鼻炎、自律神経失調症、逆流性食道炎など、Bスポット療法の対象となる症状と重なる疾患は多岐に渡ります。
正確な鑑別のためには耳鼻咽喉科での評価が不可欠です。
予防・日頃のケア
慢性上咽頭炎を予防する、または再発を防ぐためには以下のようなセルフケアが有効です。
- 鼻呼吸を意識する(マスク着用や口テープの活用)
- 室内の湿度管理(40〜60%程度)
- 就寝前の鼻うがい(生理食塩水)
- 喉の蒸気吸入、加湿器の活用
- 栄養バランスのとれた食事と十分な睡眠
- 「かっ・い〜・う〜・べ〜体操」などの口腔・咽頭運動
さいごに

Bスポット療法(EAT)は、長らく見過ごされてきた慢性上咽頭炎に対し、科学的根拠とともに再評価されている治療法です。効果のある方も多くいらっしゃいますが、全ての方に適応となるわけではありません
不安な点があれば、無理に「自分で」行わず、耳鼻咽喉科専門医に相談してください。あなたにとって最適な選択肢を、一緒に見つけていきましょう。
