つらい「両方の鼻づまり」はなぜ起きる?

風邪や花粉症のとき、両方の鼻が完全に詰まってしまい「息ができない」「眠れない」と感じることがあります。この状態はとても不安になりますが、実は原因の多くは「鼻水」ではありません。

鼻づまりの正体は、鼻の粘膜の血管が腫れて空気の通り道が狭くなること(粘膜のうっ血)です。

鼻の中には「鼻甲介(びこうかい)」というヒダ状の構造があり、ここが血流によって膨らんだり縮んだりしています。
風邪・アレルギー・炎症などで血管が広がると、空気が通れなくなり鼻づまりになります。

ポイントは「交感神経」で血管を縮めること

鼻づまりをすぐ楽にするカギはシンプルです。

膨らんだ血管を縮める(=交感神経を働かせる)

点鼻薬(血管収縮薬)も、実はこの仕組みを利用しています。
今回紹介する方法は、薬を使わずに体の反応を利用して同じ効果を引き出す方法です。

医学的に理にかなった即効対処法として4つほどご紹介いたします。

① 脇の下を圧迫する(皮膚交感神経反射)

脇の下には鼻腔につながる交感神経があり、圧刺激により反対側の交感神経が活性化する反射により血管・粘膜が収縮し、鼻づまりが一時的に解消します。

やり方

詰まっている鼻の反対側の脇に、タオルやペットボトルを挟む

② 息を止める(CO₂上昇による反応)

息を止めると血中の二酸化炭素が上昇し、その結果として呼吸中枢が刺激され交感神経が活性化し鼻粘膜の血管が収縮します。

片方が詰まっている時には有効な場合が多いです。

やり方
  1. 軽く口から息を吐く
  2. 鼻をつまんで息を止める(10~20秒を目安)
  3. つまんだ指を離してゆっくり呼吸
    その際に、鼻から吐く→吐く→吸う→吸う の順で行ってください。
    ※鼻がつまった状態なら口からの呼吸でも問題ありません。

③ 軽い運動(スクワット・足踏み)

軽く体を動かすと、体は「活動モード」に切り替わります。このとき働くのが交感神経です。

交感神経が優位になると、アドレナリンというホルモンが分泌され、これにより血管が収縮し、全身の血流が変化します。鼻の中でも同じことが起き、腫れていた粘膜の血管が縮むことで、空気の通り道が広がります。

実際に、運動後に「鼻がスッと通る」と感じるのはこのためです。これは一時的な効果ではありますが、医学的にも知られている反応で、鼻腔抵抗(鼻の通りにくさ)が低下することが確認されています。

特に、じっとしていると悪化しやすい鼻づまりに対しては、短時間の運動が非常に有効です。

やり方
  1. スクワット:10〜20回を目安に行う
  2. その場足踏み:太ももを少し高く上げる意識で30秒~1分程度続ける

④ ツボ刺激(迎香・睛明)

「ツボって本当に効くの?」と思われる方も多いですが、鼻づまりに関しては一定の医学的な根拠があります。ポイントは、神経と血流の変化です。

鼻の周囲には、顔の感覚を司る「三叉神経(さんさしんけい)」が分布しています。ツボとされる部位の多くは、この神経の通り道や分岐点に位置しています。これらの部位を刺激すると、

  • 神経反射が起こる
  • 局所の血流が変化する
  • 鼻粘膜のうっ血(血管の腫れ)が軽減する

という流れが起こります。つまり、ツボ刺激は神経を介して血管の腫れを和らげる方法と考えると理解しやすいです。

代表的なツボ

名称印堂(いんどう)
場所左右の眉の間(眉間の中央)
効果鼻づまりの緩和
頭の重さ・ぼーっと感の軽減
リラックス効果
迎香(げいこう) 
名称迎香(げいこう)
場所小鼻のすぐ外側のくぼみ
効果鼻づまりの改善
鼻水の軽減
鼻の通りを良くする

やり方(正しい押し方)

  1. 指の腹(人差し指や親指)を使う
  2. 「気持ちいい〜少し痛い」程度で押す
  3. 5〜10秒押して、ゆっくり離す
  4. これを3〜5回繰り返す

部位別のコツ

印堂

  • 優しくゆっくり押す
  • 円を描くようにマッサージも効果的

迎香

  • 鼻に向かって押し込むように
  • やや強めでもOK

両方の鼻が完全につまった時のコツ

両方の鼻が完全に詰まってしまうと、「息ができない」と感じて強い不安に襲われることがあります。このような状態では、いきなりツボ押しなどの局所的な対処をしても効果を感じにくいことがあります。

まずは、全身の交感神経をしっかり働かせることが重要です。
具体的には、軽いスクワットや足踏みなどの運動、または短時間の息止めを行い、体を「活動モード」に切り替えます。これにより鼻の粘膜の血管が収縮し、わずかでも空気の通り道ができてきます。

少しでも通りが改善したら、次に脇の下の圧迫やツボ刺激を組み合わせることで、さらに鼻の通りを良くしていきます。

ポイントは、「全身 → 局所」の順番でアプローチすることです。

無理に強く鼻をかんだり、長時間苦しい状態を我慢する必要はありません。段階的に体の反応を利用することで、安全に改善を目指すことができます。

さいごに

鼻づまりは一見軽い症状に思われがちですが、睡眠の質を大きく下げ、日常生活にも影響するつらい症状です。特に両方の鼻が詰まる状態は、強い不快感や不安を伴うことも少なくありません。

今回ご紹介した方法は、いずれも薬を使わずに一時的に鼻の通りを改善する「応急処置」です。すぐに楽になる可能性がある一方で、症状の原因そのものを治すものではありません。

もし、鼻づまりが何日も続く場合や、慢性的に繰り返す場合は、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、鼻中隔湾曲症などの可能性も考えられます。そのような場合は、無理に我慢せず、耳鼻咽喉科で適切な診断と治療を受けることが大切です。

つらい鼻づまりも、正しく対処すれば必ず楽になります。ご自身の状態に合わせて、無理のない範囲で取り入れてみてください。

野田 昌生

この記事の監修

野田 昌生(のだ まさお)

  • 自治医科大学 耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 講師
  • 耳鼻科専門医 医学博士