突発性難聴とは、突然、耳の聞こえが悪くなる疾患のうち、原因が明らかでないものを指します。きこえにくさは人によって様々で、全く音が聞こえなくなる場合や、わずかに聞こえにくい場合などがあり、難聴に気が付くのが遅れてしまうこともあります。
主な症状としては、耳鳴り、耳の詰まり感、聞こえにくさの他に、めまいを訴える場合があります。
突発性難聴の原因は明らかになっていませんが、ストレス、睡眠不足などが関連しており、内耳の血行障害やウイルス感染が原因と考えられています。
突発性難聴の診断には、まず、症状や経過を詳しく聞き取ることが重要となります。そして、聴力検査や画像検査で、聴力の程度や他の原因がないかを確認します。
鑑別疾患について
突発性難聴の症状は、他の病気でも類似して同様の症状が現れることがあるため、突発性難聴の診断には、他の病気との鑑別が必要となります。
症状が類似している疾患の例としては
- メニエル症候群
- 聴神経腫瘍
- 薬剤性難聴
- 脳腫瘍や脳血管障害
などが挙げられます。
治療方法について
突発性難聴の治療は、早期に開始することが重要です。
報告によって様々ですが、発症してから1-2週間以内に治療を行うと、治療効果が高いとされています。( Chen et al.,Front Neurol. 2023 )。時期が遅れれば遅れるほど、治療の効果が乏しく、聴力が戻らない可能性があるとも言えます。
突発性難聴の治療方法としては、ステロイド剤の内服や注射が一般的です。また、血管拡張剤や抗ウイルス薬、ビタミン剤、代謝促進薬なども併用して治療を行います。中には鼓室内にステロイドを投与する方法を採用する場合もあります。
ステロイドによる加療を行う場合には、その副作用にも注意する必要があります。通常は1週間程度の加療になるので、長期的な成長障害などの影響は少ないですが、血糖や血圧、消化器などへの影響をみながら加療をしていきます。
治療を考える際の注意点
突発性難聴の治療にあたっては、以下の点に注意する必要があります。
- 早期に治療を開始することが大切であるが、回復しない場合もあること
- ステロイド剤による治療が有効であること
- ステロイド剤による治療によって副作用が発生することがあること
生活への影響と注意点
突発性難聴によっては、聴力が低下することで、生活に様々な影響が出ることがあります。こどもでは、学校でのコミュニケーションや学習に影響が出てしまう可能性もあり、早期の診断と治療がよりいっそう必要と言えます。
- 突発性難聴は突然耳の聞こえが悪くなる疾患の中で、原因が不明なものの総称
- 他疾患の除外が必要となり、症状や既往、聴力検査や画像検査などを行う
- 早期の治療開始が、治療効果に影響し、ステロイドによる加療が一般的である