扁桃肥大とは、扁桃腺が正常な範囲を超えて腫れ上がっている状態を指します。扁桃腺は、のどの奥にある免疫器官であり、とくに乳児期において細菌やウイルスなどの病原体を取り込んで排除する役割を持っています。扁桃腺が炎症を起こす場合は扁桃炎と呼ばれますが、扁桃肥大は扁桃炎とは異なり、サイズが大きい状態を表しています。
扁桃肥大では主に、口蓋扁桃という扁桃腺を指すことが多いです。

こどもでは、正常でも大きいことが多いのですが、息の通り道を塞いでしまうほど大きいことにより、症状が出てしまいます。扁桃肥大の主な症状としては、以下のものが挙げられます。

  • のどの違和感
  • 飲み込みづらさ
  • いびきや口呼吸
  • 睡眠時無呼吸

検査

大きいかどうかの診断では、診察時に観察することで判定ができます。また、扁桃炎や扁桃腫瘍との鑑別には扁桃腺の腫れや炎症、色や形などを確認します。必要に応じて、血液検査や細菌検査、アレルギー検査なども行われることがあります。

いびきや睡眠時無呼吸があるかどうかについては、寝ている時の動画や生理機能検査として終夜spO2モニタリングや簡易ポリソムノグラフィが用いられます。

治療

扁桃肥大では治療が必要かどうかを判断した上で、治療を行います。炎症により大きい場合では扁桃炎に対して加療を行い、扁桃のサイズがどうなるかについて観察します。
いびきや睡眠時無呼吸の程度がひどい場合には手術加療の適応となります。

POINT
  • 扁桃肥大は、扁桃腺の中でも、主に口蓋扁桃が大きい状態を指す
  • サイズが大きすぎることで息の通り道を塞いでしまうことが問題となる
  • 睡眠時無呼吸の原因となり、その程度に応じて手術加療の適応となる
野田 昌生

この記事の監修

野田 昌生

  • 自治医科大学 耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 講師
  • 耳鼻科専門医 医学博士