耳小骨奇形は、中耳の三つの小さな骨(耳小骨:ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨)の形態的な異常があることです。
連続性がなかったり、固くくっついていることにより、聴力に影響を与える場合があります。
原因と分類
耳小骨奇形は、生まれつきの異常によって引き起こされるもので、発生の過程で遺伝的な要因に影響をうけます。
また、耳小骨の奇形だけである場合と他の奇形を合併する場合があります。
専門的な話をすると、耳小骨は第1鰓弓、第2鰓弓から発生するとされ、それらの鰓弓由来奇形を合併するTreacher Collins症候群やApert症候群なども耳小骨奇形を認めます。
必要な検査とその所見について
耳小骨奇形の診断には、鼓膜からの所見や、聴力検査、画像検査が有効です。
聴力検査では、聞こえの程度の他に、骨の伝わりがうまくいっているか(骨導)を調べることで、奇形によって聞こえにくいのかどうかを判断することができます。
しかしながら、こどもではうまく検査できないこともあるため、それだけで診断することは難しいです。また、CTスキャンなどの画像検査も有効で、耳小骨の形を事前にある程度判断できます。
ある程度というのは、奇形のバリエーションは様々で、完全な判断は実際に手術をしてみないとわからない場合があるからです。
治療法について
耳小骨奇形に関する治療としては、手術加療が行われています。
手術では、奇形のタイプや固くなっている場所に合わせて、手術を選択することが必要になります。そのため、事前にある程度の予測をしていますが、実際の手術中の所見で、最終的な判断を行います。
手術の種類としては、鼓室形成術または、アブミ骨手術が適応となります。
鼓室の部屋を確認し、聞こえのしくみを作り直す鼓室形成術では、骨のつながりを作ったり、固くなっているところを解除したりします。
アブミ骨手術は、耳小骨の最後の骨であるアブミ骨が固くなってしまった場合に行います。
鼓室形成術、アブミ骨手術
手術は比較的大きな手術であり、一定のリスクも伴うので、治療を行うかどうかを慎重に検討する必要があります。
また代替手段として、骨導インプラントや補聴器の使用も検討が可能です。
特に、こどもに対して行われる場合は、発育に与える影響や、成長後の再手術の可能性を考慮する必要があります。
まずは、耳鼻咽喉科専門医にご相談していただくことをおすすめします。
- 耳小骨奇形は、中耳にある3つの骨の形が変わってしまうこと
- 固くなったり、つながりがなくなることで、聴力の低下をひきおこす
- 治療としては奇形のタイプにあわせた手術(鼓室形成術・アブミ骨手術)があるが、実際に確認してわかる部分もある
- 骨導インプラントや補聴器の使用もあるため、まずは相談してみることが必要