滲出性中耳炎は、中耳の空間に液体が溜まる疾患です。
主な原因として中耳に圧がかかることが考えられ、上気道感染症やアレルギー反応、気圧の変化などが挙げられます。症状としては、

  • 耳の詰まり感
  • 耳鳴り
  • 聴力低下
  • 頭痛
  • めまい などで、こどもの訴えはさまざまです。

炎症があり痛みや発熱を伴う「急性中耳炎」とは違うものです。
小児においては、特に言語発達に悪影響を与えることがあるため、早期に適切な治療が必要です。治療法としては、原因に合わせたものをまずは行います。

抗菌薬や抗アレルギー薬の投与、耳抜きなど鼻から耳への圧をかける練習を行い、改善がない場合には手術を行うことが多いです。
また、生活の中での注意点としては、タバコの煙や花粉、ダニなどのアレルギー原因物質の避け方や、規則的な掃除、手洗いなどが挙げられます。定期的に通院し、鼓膜を観察することも大切です。

鼓膜チューブについて

鼓膜チューブ挿入術は、滲出性中耳炎や再発性中耳炎など、中耳内に滞留した分泌物の除去や中耳通気機能の改善を目的として行われる手術です。

鼓膜チューブ挿入術

一般的には、以下のような基準を目安にしています。

  • 中耳炎の症状が3か月以上継続する場合
  • 中耳内に積極的な治療を行っても改善が見られない場合
  • 両側にあり、聞こえの悪い状態がある場合

ただし、チューブ挿入術が適切かどうかは、患者の症状や病歴、年齢などによって異なるため、必ずしも上記の基準が当てはまるわけではありません。

耳鼻科専門医が慎重に患者の状態を評価し、最適な治療法を選択する必要があります。

野田 昌生

この記事の監修

野田 昌生

  • 自治医科大学 耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 講師
  • 耳鼻科専門医 医学博士