気管切開術とは、息の通り道の一つである気管に穴を開けて通気路を確保する手術のことです。
喉が腫れたり、うまく呼吸ができないなどの呼吸困難を引き起こす疾患や、痰や分泌物がうまく排出できない場合、食事を飲み込めず誤嚥のリスクが高い場合などの治療に行われることがあります。
息の通り道である気管を切開することで、気道の確保や痰の排出ルートの確保などの気道の管理を容易になります。

子供が気管切開術を受ける場合、まずは病状について詳しく検査を行い、手術が本当に必要なのかを判断します。その際には以下のような、手術を受けるメリットとデメリットについて考える必要があります。

メリット

呼吸困難の状態が急に悪くなったりするリスクを減らし、呼吸器による管理もしやすくなります。
また、誤嚥が多い際には、その頻度を減らすことによって肺炎や窒息のリスクも減らせる場合もあります。

デメリット

声を出したり、お風呂に入ったり、いきんだりする際に制限があります。乾燥した空気が直接気管に入ってしまうので、のどへの刺激になったり、感染しやすくなるリスクもあります。最近では、様々なカニューレがあり、湿度を保つものや声を出せるようになるものもあります。

手術後は、専門の医師や看護師によって定期的にケアを行い、呼吸器や喉の炎症、感染症などの合併症に注意しながら経過観察を行います。この際に、以下のようなトラブルが起きることがあります。

  • 空気が漏れて、圧をかけた換気ができない
  • 気管の中が傷ついてしまい、血がでてしまう
  • 孔の部分で皮膚や肉芽の組織が大きくなることで、気管が狭くなってしまう

気管切開術は手術を受けることもそうですが、手術をした後の管理も含めて、経過をみることが重要です。まずは耳鼻科専門医のにご相談していただき、適切な治療を受けることをお勧めします。

野田 昌生

この記事の監修

野田 昌生

  • 自治医科大学 耳鼻咽喉科・小児耳鼻咽喉科 講師
  • 耳鼻科専門医 医学博士